アジアのごはん(107)手作り豆乳

森下ヒバリ

「小さな豆乳工場」という名の、豆乳メーカーを入手してみた。台所にものを増やしたくなかったのだが、市販の豆乳に飲めるものが無くなってしまったので、いろいろ機能を調べてのネットショッピングである。

これまでは、マルサンアイの無農薬豆乳を、豆乳ヨーグルトや豆乳シチュー、お菓子作りに使ってきたが、どうも去年の秋ぐらいからあまり食べたくなくなってきたな~と思ったら、どうも最近のこれはグリホサートが残留しているようだ。無農薬と謳っているものでそうなのだから、ほかの大手メーカーの豆乳はもっとひどい。おまけに大豆はセシウムを集めやすいので、大豆の産地には本当に注意が必要だ。ただ国産と書かれても困るのよ。

市販のものや豆腐屋さんの豆乳などいろいろ検討してみた結果、信頼できそうな無農薬大豆を買って、自分で作るのが、一番早い・・となった。ヒバリは乳製品にアレルギーがあるので、豆乳がないと料理のバリエーションが減ってしまう。豆乳ヨーグルトや水切り豆乳ヨーグルトで作るシャーベットも食べたいし~。というわけで、さっそく豆乳を作ってみましょう。今回は熊本の無農薬大豆を使う。

届いた豆乳メーカーは、高さ26センチ、幅16センチぐらいで、ポットのような形をしている。乾燥大豆50グラムを一晩水に漬けておいたものの水を切ってポットに入れ、ポットの水(だいたい450cc~)を入れてスイッチを入れると、自動で粉砕して加熱してくれて20分で豆乳のできあがり。う~む、早いぞ。大豆は乾燥のままでも、30分でできるので、急に使いたくなってもだいじょうぶ、らしい。

で、ほわ~と湯気の立っている豆乳を網で漉して、おからと分けたら、完了である。もともと、豆乳をそのままでは飲まないのだが、これはおいしそう。出来上がった豆乳は400㏄。カップ2杯分だ。さっそくヨーグルトに仕込む。いい感じに豆乳ヨーグルトもできた。うんうん、体が喜ぶこの感じ。おいしい、です。大成功。

そして、残ったおから・・実は最初は、毎回おからがこんなにできたら、あまって邪魔くさいだろ・・と思ったのだが、それを使って料理してみたら、そんなふうに思ってゴメン! と謝りたくなるぐらいおいしいかった。

さあ、ごく基本の「おからの炊いたん」を作ってみますよ。
まずは家にある野菜を適当に、今回は玉ねぎ、にんじん、お揚げ、ピーマンを細かく切り、油で炒める。火が通ったら、おからを加え焦げ付かないように炒める。おからは豆乳3回分をまとめて。油はおいしいオリーブオイルやさっぱりしたゴマ油がいいです。
いい感じに水分が抜けてきたら、醤油、またはだし醤油、(薄口がいい)で味付け。市販のおからのように機械でぎゅうぎゅう絞ってないせいか、大豆の甘みがたっぷり残っているので調味料はこれだけで十分。器に盛ったら、ゴマを指でひねってパラパラとかけて出来上がり。

しっとりとして旨みが濃く、ミルキー。これは、下町のお惣菜というイメージを変えてしまう、極上の一品でございます。事前におからを炒る必要もないし、とっても簡単に作れます。残った「おからの炊いたん」は、冷蔵庫で3日位は十分日持ちする。焼いたパンに挟んで食べてもおいしい。

さて、次は豆乳ヨーグルトを使って、シャーベットアイスを作ろう。
豆乳ヨーグルトは軽く重石をして水分(ホエー)を分離させ、ホエーは次のヨーグルトを作るために取っておく。豆乳チーズを作るほどホエーを抜く必要はないので、加減してみて下さい。ハンドブレンダーがあれば、水分を減らした豆乳ヨーグルトをちょっとホイップしてもいい。
少し水分を抜いたヨーグルトにはちみつ(または砂糖)を加えて好みの甘さにして、さらに生のフルーツを入れる。いちごやぶどう、いちじく、さくらんぼやプラムなど。それを器に小分けして冷凍庫へ入れる。フルーツなしでもかまわない。凍らせている途中で一度かき混ぜるとさらにクリーミーになるが、かき混ぜなくてもだいじょうぶ。
ドライフルーツを入れる場合は、ヨーグルトからホエーを抜く必要がないので、さらに簡単。その場合は食べやすい大きさにちぎったドライフルーツとはちみつ(または砂糖)をヨーグルトに入れて、半日から一晩冷蔵庫に入れておく。水分を吸ってドライフルーツがぷるぷるになっていたら、小分けにして凍らす。ドライフルーツは、マンゴー、プルーンや、ヨーグルト用のミックスなどがいい。一晩置いたものは、とろんとしていて、凍らせずにそのまま食べてもとってもおいしい。

市販の豆乳の品質が最悪になっているのは、2011年の福島原発事故でまき散らされた放射性物質に加えて、規制緩和されて新たな使い方をされている除草剤のグリホサートの残留のせいだ。グリホサートはあぜ道や庭の除草だけでなく、農業の現場で大胆な使われ方をされ始めた。草取りのためではなく、収穫期の作物、主に小麦と大豆にドローンで撒いて振りかけて、立ち枯れさせ、収穫を容易にするという使い方である。グリホサートは収穫された小麦や大豆に染み込み、振りかけられた畑にも染み込み、残留する。

数年前には、九州のふくれんがこの収穫方法を推奨している、実際に農家が大豆の収穫時に使っているという話は聞いていた。そして、先日にはついに北海道のホクレンもこの使い方を推奨していることを聞き及んだ。ああ、北海道よ、お前もかい。いま米国や欧州で規制が強められ、さらにグリホサートががんの原因であるという訴訟で、原因と認められて次々とモンサント(現バイエル)が賠償を命じられているのを知らないのか。日本だけが規制をものすごく緩めて、使用推奨って正気ですか。
グリホサートを人間が摂取した場合、一番の問題は腸内細菌叢がめちゃめちゃになってしまうことである。ある種の抗生物質のような働きをしてしまい、有益な腸内細菌を根絶やしにしてしまう。いくら発酵食品を頑張って食べても、食物繊維をとっても、グリホサートまみれの小麦や大豆を食べていれば、あなたの腸内環境は救いようがない。
新型コロナウイルス感染症がまん延している今は、自分の免疫機能が最も必要とされているときだ。腸内細菌は免疫をつかさどる。免疫力を落としている場合ではないのである。大豆製品・小麦製品は原発事故で汚染されてない地域産で、かつ無農薬のものを食べましょう。