八月最後の日。

仲宗根浩

昼前ににわかに暗くなると、北の方向から頭上にかけて雨雲がかかりそうになっている。洗濯物を取り込む。ちょっと時間がたつと雨が降る。東側にあるベランダの先は晴れのまま雨雲は家の真上を通りすぎる。
旧暦の七夕、灼熱の午前中に墓掃除。デッキブラシ、たわしでコンクリート製の墓についた水垢をごしごしと落とすと。たっぷり過ぎるほど汗をかき、旧盆を迎えるごあいさつをすませる。七夕の前の週に子供は夏休みを終え、二人分の昼ごはんをつくることから解放され、暑いなか中学生は一学期後半が始まる。

車が古くなれば自動車税も高くなり維持費が高くなるが、別の車を買う余裕は今は無く、走行距離十万キロ越えれば交換しなくてはいけない部品があり、運転席側のパワーウインドウは完全に壊れた状態で半年以上、いよいよ修理見積もりをしてもらう。電動で開け閉めする窓は人力の力わざを使い、こちらの筋肉が鍛えられる。電動で開け閉めする窓の部品がこれまた結構なお値段で。遂に修理と部品交換に出すと、代車の軽自動車はキーレス・エントリー、バックモニターとオールド・スクールの人間にはとまどうことばかりだが、車内は広く、走りはスムーズで静か。十数年前の軽自動車と比べるとその進化に驚く。

沖縄防衛局から電話がある。いかにも電話での対応に不慣れな口調の担当者さん、昨年出した受信料減額の手続きに不備があったので書類送付する、ついては記入後に返送願います、と。いやいやこちらは、そちらの方まで赴き、ご担当の方と面と向かい、ご指示に従い必要書類記載しご担当者様と共に確認の上提出しましたがそれを今ごろになって不備がありましたとは納得がいかない、ということを小心者のため言えず、胸のうちに納め、ハイハイわかりましたと返事をし電話を切る。しばらくして届いた書類には受信料金額が変更したたため云々。今更、変更など一括払いで引き落としされているものをちゃんと確認したはずだしどこの不備だ。基地の護岸工事はチャッチャと手早く進めるけどこういうことはチャチャッとできないお役所。

外に出ると今までと違う、熱をもった風ではなく涼しさを感じさせるような風が一瞬吹くが、すぐ現実の暑さのなかにもどされ汗がどんどん出てくる。車に乗り込み、空港に向かい、飛行機で羽田。羽田から東京駅に行き新幹線に乗り込み長野へ向かう八月最後の日。