仲宗根浩

仕事から家にもどり、シャワーを浴びていると爪がぽろっととれた。やっと、とれた。去年の七月にちょっとしたことで右足の拇指の爪が剥離した。剥離であって完全に剥がれたのではない。爪の根本はつながっているいるのでとれていない。ぐらぐらの状態で爪はなんとかつながっているし、爪も伸びていた、というより新しく生えた爪が剥離した爪を少しづつ押し上げていたんだろう。爪の白い部分に沿って段差がつきもう少しで外れそうだったし、パカパカ動くし。

去年の十一月ごろだったか仕事中、カーゴのストッパーを足の拇指で押したとき爪になんか負荷がかかったような感じがして、その後に軽い痛み。右足をかばうように歩いていたがそれより負荷をかけてはやく爪が自然に取れるように、ふつうに歩くようにした。それでやっととれる。毎日、患部が炎症をおこさないように軟膏をつけガーゼで巻いていた生活が終わった。

そんな時期をおくりながら、今度は一本残っている親知らずが腫れる。六年ぶりに歯医者に行くとまあ面倒なことになり抜歯となるが、痛み止めや抗生物質を処方してもらい腫れがひき、レントゲン撮影をするとこの親知らずが見事にまっすぐ生えている、これはもったいないので温存しましょうとなった。腫れがまた起こるようであれば親知らずを覆っている部分を切開すると。親知らずはきれいに生えてなくてこぶみたいなものに覆われている、それが腫れの原因だと。とりあえず三十年ぶりの抜歯はまぬがれた。そのあと頭をちょいとぶつけて早乙女主水之介の向こう傷からだいぶずれたところに横型の傷ができる。加齢による身体の空間に対する認識の衰えか、こんなことがよく起こるこの頃。

感染者の数字はだんだんと増えていく。数字に翻弄されていく日がとうぶん続くのだろう。