ツインピークス再び

若松恵子

デビッド・リンチ監督の連続テレビドラマ「ツインピークス」の新シリーズが、25年ぶりに制作されて、日本でもWOW WOWで7月から18回にわたって放送された。

毎週土曜日の夜9時からの放送を楽しみにして、夏が過ぎ、秋が来て、冬も深まってくる11月の終わりに最終回を迎えた。

かっこつけて言ってるわけじゃないけれど、わけのわからない世界をテレビで見るなんて、ほんとに久し振りで感激だった。謎は謎のまま投げ出されて、パチンと電気を消すように最終回が終わってしまった。あの時ああなったあの人はその後どうなったのだろうなんて気になるけれど、ほったらかしである。

細部を何度も見直して、謎解きすることもできるのかもしれないけれど、大人をも怖がらせる映像に触れただけで、まずは満足だった。邪悪なものは心底邪悪で怖かったし、毎回最後に登場するバーでのバンドの演奏シーンは、この世のものとは思えないあやしさを秘めていて魅惑的だった。

25年経って、ますます異端なデビッド・リンチの感性に感心した。あるいは、映像技術の発達によって、彼の頭の中の映像化が過激に可能になったのだとも言えるのかもしれない。

世の中は快方に向かっていない。邪悪な者が相変わらず動き回っている気配がするのだ。主人公のクーパー捜査官を演じたカイル・マクラクランも、25年後のローラを演じたシェリル・リーもいい具合に老けている。この間の世の中の厳しさを反映して、顔に年月が刻まれている。そんな感じも良かった。