愛と海とパレスチナ

さとうまき

3月、シリア国境を越え、イラクに入った。
そこには、パレスチナ難民キャンプがある。アメリカ兵が、キャンデーを持ち歩き、子どもたちの人気者になっていた。6月30日を期限にアメリカ兵は都市部から撤収する。ニュースは、バグダッドでは、イラクの人々が占領が終わったと喜びの声を上げていると伝えている。この砂漠の難民キャンプから米兵がいなくなるのはいつなのだろうか? たとえ、米兵がいなくなっても、占領は続く。住民は永遠の被占領者であるパレスチナ人たちだから。

遠い祖先がハイファ出身という難民キャンプの少女は、また詩を書いた。 

  愛と海   悲しい鳥

愛は海のようなもの

みんながそれを好きで
みんながそれを求め
みんながそれを歌い
みんながそれについて語らう。
でも本当は誰も知らないの。
そこにとびこんだことのある人以外は

みんながそれを歌い
みんながそれを語らい
みんながそれを求める
でも本当はだれも知らないの
それを理解した人以外は

私は、この詩にパレスチナを付け足してみる。

…でも、本当は、誰も知らないの
それを体現したもの以外は