153立詩(1)ハイ・プリンター

藤井貞和

新楽府(しんがふ)を、この炎天に想う、諷喩の試み地上にはなきを。
わが怒り、自嘲へ霧消し、世に従うや ぶざまなおいらよ。
心より検閲起こり、あっ虚空に浮かぶハイ・プリンター。
次第に降りてくるぞ、なんだあれは 巨大なコピー機。
ことしのUFOが近づいてくるぞ、サン・チャイルドだ、
いやドラゴン。コピーしに降りてくるヤマユリの精(せい)。
水紋をコピーする、復興するすべてのうそをコピーする。
唐のみやこ中唐のこと、はくらくてんは中編詩をいくつか書いて、
住むことができなくなる コピーでのこそう。はるかな以前には詩の国からの、
追放だった。もういいの、なんでもありだ、ったく、
ハイ・プリンターは印字して地上にばらまく、はなびらの一枚一枚に。

(おいらのロー・プリンターもできるすべてを尽くして、長安のみやこにはなびらを一枚一枚、印字しては散る中編詩。)