数え歌――みどりの沙漠37(翠の虱改めまして)

藤井貞和

人食えば、
蓋も食いたい、
蜜の味。

寄っといで、
いついつまでも、
睦みあい。

なななんと!
やややっちまえ!
こここんな!

とおまり〈十余り〉一つ

(『グランツビー航海記』に日本国の北海洋上、ノチベット王国あり、青年をへびに食べさせるはなしがなかにある、と。「巴里にて刊行せられたる北京版の日本小説その他」〈宮崎市定『日出づる国と日隠るる処』1943〉)に書かれている。それは人身犠牲。旅人がイエナの森へさまよい行って、祭のあいだひとりづつ人が殺される祭場だと教えられる。平林広人『ヴァイキング』〈1958〉より。ジョージ・秋山『アシュラ』は食人場面で有害図書指定。十久尾零児『五大御伽話の謎』〈1970〉の「食人について」より。これはカニバリズム。)