旧い国家――翠ぬ宝84

藤井貞和

荀子の訳に変調の詩とある
月明かりには旧い国歌
祖国の終わったあとから
まだ歌っている独立
終わる言語の西夏に
倒立する等身大の硝子玉
はいあがる遺跡
俑をならべるシルク・ロード
嬰 すこしあがり
変調の砂埃 沈む夕陽に
詠 いつまでも詠
恋しい馬の白骨 歌う骸骨
汚染するのか遺跡 

(「詠 いつまでも詠」、会える日、出番、きみが恋する世界、草葉の光り、すべてが待っているから。)