オトメンと指を差されて(34)

大久保ゆう

みなさん、春です、春なのです。ぽかぽかしてきたのです。春は油断なりません。いつでもどこでも私を誘惑していて、うっかりするとときめかされてしまいます。そんなことになった日にゃあ――

 1.外を歩く
 2.ぼーっとする(or本を読む)
 3.空を見る

ことになっちまうのですよ! ああなんて恐ろしい! ああ仕事が手に着かない! 困りましたね!(ちらっと横目) 春のせいですから、だって春のお方が誘うんですもん!(ちらっちらっとあたりをうかがう)

頭もいい感じにほかほか暖まっているので、色んなことがゆる〜くなってしまって。街を歩いていて、現れた魔法の五文字、そりゃもうお財布のひももだるんだるんびろんびろん。ついでに花粉症で鼻はじゅるんじゅるん、目はちくちく、といってもまだまだ軽度なのでたいしたことはありませんが。

ふわふわ、っとなっちゃって、うろうろ。適当な場所をみつけて、座ったり。きっと私はあやしいひと。まあ周りにはいろいろとものがあるので、最後にはやっぱり見上げるわけで。

空を見るって、いちばん贅沢な時間の使い方ですよね。いやもう、これ以下の暇つぶしはないってくらいに。たぶん、なんというか、自分と時間が一対一で向き合ってるような、そんな感じなのかな、って思ったりもするんですけど。私にもっと風読み・空読みスキルがあるといいんですが、何にもないので、ただ〈見る〉ことしかできないんですよ、正直のところ。

空の向こうにはたぶんたくさんのことがあるんでしょうが、ぼーっとするだけ。時の歩みは、びっくりするくらいに遅くて。自分がそのときの時間と一緒にただ流れてるだけだからなんでしょうかねえ。

それこそ、空を見るってだいたい地球上ならどこでもできることなので、私にとっては旅の定番であります。観光地へ行ったり、美味しいもの食べたり、っていうのもいいですが、その場所の空を見るってのもいいですよね。何も用意しなくていいし。

やっぱり色んな場所の空を見てみたいなあ、と思っていて、実際にどう違うとか、見た目が変わるとか、そういうった部分にはあんまり興味がないのですが、その場所その場所と、ただ時間を共有していたいと言いますか、まあそんな意味合いで考えておりまして。

世界じゅう、なんてできると面白いんですが、とりあえずは日本じゅう、全都道府県を回るくらいを目指してたりするんですけどね。まとまった休みがあるごとにちょこちょこ出かけているのですが、まだ……30くらいしか行ってないので。今年も、春夏秋冬で、たぶん数県ずつ。

そのときには、元気な空が見られるといいな。