オトメ ンと指を差されて(29)

大久保ゆう

常日頃唱えている「カントリーマアムは和菓子である」説に賛同してくれる人はいません。みんなあれを洋菓子だと言ってはばからないのです。しかしながらわたしはここでふたつの疑問を提示したいと思います。

一、古き良き時代のアメリカの手作りクッキーという定義がよくわからないこと。
二、このもっさりとした触感とほのかなあんこの後味はどう考えても和菓子のそれだということ。

ソフトクッキーにしてももっと何かこう違うものですよね。作ったり食べたりしたことがある人はわかると思いますが。やっぱりカントリーマアムは「カントリーマアム」という食べ物であって他の何ものでもなく、そうするとこれは日本で作られた和菓子だと考えていいのではないかと。

最近はきなこ味とか宇治金時味とかみそ味とかもはや和風であることを隠しもしておらず、そういった事情からも不二家が作っているから洋菓子なのですという思考停止に陥った派閥に易々と与することはできません。

そもそもショートケーキやミルキーだって和菓子ですよ! どう考えても!(Japanese Strawberry Shortcake and Japanese Hard Milk Candy!)

そんなわけでお手伝いのため今でも顔を出しているボランティアサークルでは、カントリーマアムが消費されるお菓子の第一位をぶっちぎりで占めており、新味が出ると誰ということもなくサークルに常備されているお菓子BOXに供給され、みんなして和やかに食しております。略して和食。

個包装に入れたまま電子レンジにかけてどろどろにしてしまったという猛者もいますが、ジャパニーズソフトクッキーを温めてもいいのなら、おまんじゅうだって同じことをしてもいいわけで、特に黒砂糖系のおまんじゅう(あるいは温泉まんじゅう)をちょっと温めても美味しいですよね。わたしはあれをそんなノリだと思っています。

何が言いたいかというとわたしは不二家を偉大なる洋風和菓子屋だと思っています。あと店舗販売の手作りお菓子と袋売りのお手軽なお菓子のどちらも作ってるというのはとってもえらい。どっちも好きなので。

男なのにこんなにお菓子スイーツと口走るのは、おそらく実家が日々お菓子の流通する文化にあったからで、近所の洋菓子屋さんからたびたび新商品のお裾分けなんかいただいたり、家族が何の前触れもなく普通の日に手作りのお菓子を作り出したり、どこからともなくおみやげが頻繁に届いて家族に配給されたり、なぜか季節の果物が食べきれないくらいに常備されていたり、お買い物についていったときには遊び場っぽいとこでなくお菓子屋に放置される子どもたちだったりと、そんな家庭にいたからだと思わないでもありません。とにかくスイーツと本だけは制限しない家庭でした。

スイーツ好きがこじれて、できればtwitterのタイムラインとかもお菓子や果物のアイコンの人だけで埋めてみたいのですが、そんなアイコンをどうやって探していけばいいのか、あるいはそんなリストがすでに存在しているとしてどうやって見つければいいのか、というところでもやもやしています。

放っておいたらプリンとかケーキとかチョコレートがわらわらと流れてくるようにしたいのに。そうなればわたしもたぶんtwitterが気持ちよくなると思うんです。

だってほら、twitterって基本それぞれがそれぞれのエゴむき出しで、そこかしこにどや顔で名言っぽいこととか偏ったこととか変態的なこととかつまらないジョークとかを脊髄反射みたいに言い切って悦に入ってる人なんかがいて、それがリツイートされて勝手に流れ込んでくるような気持ち悪いところじゃないですか(「(キリッ、だっておwwバンバン」を自動的につけてくれないかな)。インターネットが人間の自我を拡張してさらけ出して垂れ流させるなんていうことは、昔から割と言われていることではありますが、これは極まった、と思ったりするのです。(一応褒めてるつもりで、否定しているわけではありません。)

まあでもわたしはそんなツイートの内容とかはどうでもいいので、お菓子ばっかり流れてくればいいな、スイーツが語るのならたぶん割と何でもいいと思うので、そんな感じにタイムラインを染めたいのです。

お菓子が政治の話をしたりエロい話をしたり鬱々とした話をしたりしてもいいんじゃないかな。twitterの本懐であるところの世間話だけを繰り広げる、ゆるゆるふわふわとしたスイーツだけの世界。

ああ、みんなお菓子になればいいのに。わたしはなりませんけど。