反システム音楽論断片   高橋悠治

 

 準備


「音楽の反方法論序説」を書いてから数年経って こんどは「反システム 音楽論」を書きたい 反システムだから 体系的な記述ではありえない すべてを新しく書くこともない 以前に何度も考えた問題 書いた文章から抜き書きし て 必要なら書き換える という作業 短いパラグラフの編集とコラージュをするうちに 予想されなかった方向へ逸れていく というかたちでありたい

20代前半からピアノを弾き 作曲をし コンピュータをつかって作曲や演奏をするプログラミングを続けてきた 同時代のアヴァンギャルド音楽からはじめて クラシックも演奏するようになり 即興するようになり それらは統合されない複数の分野であり 統一などありえない 多様な活動でありつづける

それは活動を分断して専門領域に囲い込む この文明のせいだけではないだろう システムに取り込まれるのを逆用して 統合を拒否する抵抗でもありうる こ の状況では 一般理論や自己主張はなりたたない 順応でも個人主義でもない 運動のなかで生成する 外側からは あいまいで多義的 まがりくねったプロ セスの軌跡が見えるだけだろう 時間的にも空間的にも距離をとった群れの 相互作用から ついに安定することのない揺らぎと崩壊が 発見を誘う

外側からはある一貫性が見えるかもしれないが うごいている内的な視点からは その時やるべきことをやっているだけ それにしても 半世紀も経って ごく わずかな発見しかなく 時は加速していくように感じられるいま 当然のことながら 出発点からは遠いところをさまよっている 日本の「現代音楽」からは  関心はすでに離れた かつての友人たち もっと若い世代の作曲家たちは 何をしているのか 興味をひくような音楽は あまりない アカデミズムは栄え 闇 は深くなる

昨年マネージメントを離れてみると よくよくのことがなければ 他人のコンサートにも行かず CDをきくこともない日々になり それでも何の問題もないの だから それらは結局 生きるためには不要な音楽だったのか 音を必要としている場は どこか他所にあるのではないか と思える

いままで わずか数曲をあつかっていた音楽出版社とも だんだんに縁を切り 楽譜はネット配信にしてみると 世界の向こうでそれをダウンロードして演奏す る知らない人たちもいる 音楽出版社 指揮者 コンサートホール 音楽祭 レコード産業というような古典的な経済関係は もう過去のものなの に 作曲家たちは その現実に追いついけない 民俗音楽や即興音楽 エレクトロニクスでは 楽譜さえ不要になりつつあり 最近の録音技術は 生演奏のあり かたを変えるほどにもなっているのに そんな変化とも無縁な場所に引きこもって 「国際的な」エリートの音楽を追求してもしかたがないだろう

マネージメントを離れたことによって いままでやっていたようなコンサートの自主企画はむつかしくなった だが 問題はむしろコンサートという 生活から 離れた場所にとじこもる音楽のありかたではないだろうか といっても それに換わるかたちがすぐ見つかるわけもなく 理論で創れるものでもない あらゆる 方向にすこしずつひらいていくプロセスにまかせると 目標を最初から決めて それに近づく努力をするよりも 時間がかかる 時間のちからが 触発を問いに 深め おだやかな変化に 身体を染めていく

これまで書いたようなローカルな事情は ちょうど世界の転換期と一致していることに気づく 1492年以来の500年間に一つの文明が世界を覆い 一極支 配のプロセスは だれも止めることができなかった 先行する他の文明がそうであったように これもいつかは過ぎ去るもの それも外側からの破壊ではなく  それ自体の繁栄の重みで崩壊するのだ その兆しは 世界のあちこちで すでに顕れている

音楽は 社会的芸術であり 複数の人間をつなぐという意味で 政治的であることは避けられない 文明の興亡や 社会の変動と無関係ではいられない 価値基 準はすでに ひびわれている 20世紀の世界音楽は 世紀末に向かって解体していった 状況は混沌としている 歴史をさかのぼり 過去を発明しながら 別の回路をひら くことはできるが 生成は展望をもたない あらゆる方向に道が延びていく いままでのヨーロッパと北アメリカ中心の世界地図にかわって その他の地域  中南米 アフリカ アジア太平洋が 視界に入ってきた 中心が移動したのではない 地図に中心はない 移動そのものが地図 関係の束が微分される 測れな いほどの時空のわずかな移転が 一瞬に全体を組み換える

この音楽ではなくあの音楽を というような革命の時代でもなく 破壊や反体制の時も過ぎた いまは反省の時間 これかあれかではなく これとあれ さらに  音楽よりは さまざまな音が行き交う場をひらくのが この時代にはふさわしい

これを序として しばらくは 自分が昔書いたことばをてがかりに 考えてみよう いまや世界システムを内側からうたがうことばが起こり その周辺から批判 する視点もある イマニュエル・ウォラーステインのアメリカ権力衰退の予言 トニ・ネグリのマルティテュード ジル・ドゥルーズの差異 ウンベルト・マ トゥラーナのオートポイエーシス ベル・フックスのブラックフェミニズム サパティスタの寓話 かれらの思想をうけいれ 解釈するのではなく ことばの断 片を触媒とする振動の 増幅 システムに換わるシステムではなく システムにならない運動 砂のように にぎりしめられず 手からこぼれ落ちる なめらかな流れ





反システム音楽論断片

●1

糸(threads)として
声の場 リズムと身体 音色と空間 自律と相互調整 口と耳の交換 隙間とずれ ゆりくずす システムを作らない抵抗 こころみのプロセス さまよう 息  ゆるめる かぞえないで感じる など 思いつくまま

まずは 声の場

がやがや 音にかこまれていると ほっとする

みんなの声 みんなちがう声が 同時にちがうことばをしゃべっている それがだんだんに静まったとき 合意が成立している 合意は沈黙 理解は沈黙 異議 は ちがいは声になる のか

それぞれにちがう声 声のあいまに別な声 折り畳まれた同時発声の空間から 余白の多い奥行きのある空間へ 聞くための沈黙 会話の空間 平等な空間

聞こえるから声がある 二つで一つ 声があるから音がある 一つは 内側に折り畳まれた二つ 

聞き分ける三つから七つのちがい 仲間のまとまり

声がきこえないとき きこえる高い音 耳が発振している それ自体細かく振動している鼓膜が 他の音の振動すべてをはこぶ 

聞こえる音は 声として聞こえている 聞きなし(patterned listening) 口でとなえられる音声だけが 音として聞こえる 聞こえる音の範囲が 人間の世界の限界になる 口と耳の交換

楽器の音色を声であらわす リズムを数えたり 記号であらわさず 口でとなえる 間の時間

●2 反システム音楽論断片2

さて今月は あれこれ本をよみ
理論の手がかりになることばを さがしてはみたが

哲学は 創造に追いつけない
解釈し 判断し 意味をもとめる以前に
手は ひきよせる
耳は ふたしかなゆびに ついていく
眼は うごくゆびを じっとみる

あらかじめ考えられた目的 意味 方法ではなく
美学や 理論 システムもなく
かすれた声 ためらう声 遠い声
かすかな音 わずかな音
ざわめき ささやき つぶやき

ほつれた線 たよりない かぼそい ちからのぬけた 線
つなぎとめようもなく ただよい はなれてゆく 
おもいがけず なつかしい あらわれ
ためいきのように そっと別れをつげる

かぞえない はからない じかん
ふいに はじまり きゅうに とぎれる うた

ひとつのうごきにこたえる(respond) もうひとつのうごき 二つでひとつ
ひきうけること(responsibility)

しみだす しみこむ 空気をそめる 色
あいまいな ひろがり 

ゆすぶり くずす かたち
ゆびのしたで 穴だらけの 粗い織り

耳をすますと ゆびはもつれる
舞うからだ のみこまれ ころがりおちる 
踊りの手足 枝分かれする ベクトル

こうして書いていると 
これはいつか書いたことば
くりかえしではなく すこしだけちがう地点からの

●3 反システム音楽論断片3

演奏者は演奏のためにだけ集まる
しごととあそびがひとつになる場
結果の一回性をうしなわないために
練習の回数は必要最少限にとどめる

他の演奏者の音をきき 自分の音の入るべき時まで待つ
音があらわれ 消えていくまでを
注意深くききながら
音それぞれのきらめきとうごきを
さまたげないようにする

ひろびろとした
風通しのよい空間のなかで
さまざまな音が 固有の時間で点滅しながら
一度限りの関係を織りなす
遠く離れた星が
ある角度からは 星座に見えるように

引力と 
それから逃げようとする遠心力のバランスが
衝突しないように
それぞれの音の軌道が決められている

ひとつの音は 他の音とのちがいによって
輝く
メロディーやハーモニーのように
制度化された文法から離れて
ばらばらにされた音と
他の音 環境音さえも との出会い

計算された構成ではなく
発見の継続の一時的組織
プロセスとその結果を分離させないような
作品の提示

自由な音楽は
聞きたい音をつくり
こうありたいと思う音の状態を
音楽としてつくりだすことによって
非暴力直接行動による平和な社会のモデルをさきどりする

その音楽は だれのものでもない声
だれでも使うことのできる
手順であることが のぞましい
個人的なスタイルは 商品となり
ブランドとなって その所有者が
そこから出られない魔法の輪になる
作品や演奏のスタイルが その作者をしばる

音は自由であり
音楽は 音の関係の自律的な調整でありうるが
音楽家は
資本と国家が暴力で維持しているこの世界のなかで
自由ではない毎日を生きる

それでも 音の場で
一時的な協力関係にはいって
音の出会いに触発された発見の時間には
権力のはいりこめない 親密な対話と
呼吸できる空間が残されている

ちいさなゆれ かすかなずれ
いつでも起こるこうした偶然
失敗とみなされてしまうようなほころびが
世界をしめつけている管理された時間に穴をあけ
ちがう風景を一瞬見せてくれる

思い通りにうごかない手
その手にまかせて あらわれる音
手についていく 意図から解放された まがりくねる道

思うままに音を操る手からは
予定された音しか出てこない
安全だが おなじところを回っているだけで
どこにも行き着かない競技場のコース

並行して落ちる雨の粒の
理由のない 偶然のわずかな偏りから
ぶつかり はねかえり 飛び散って
遠く離れたものが結びついた
世界が生まれるという エピクロス派のクリナメン

世界はひとつではない
たくさんの世界がある
それぞれの時間が またたいている
知っている世界が こわれ
かけらがあつまって 別な世界が生まれる

知っている音楽を ばらばらにして
遠い響きをたどりながら 別な音楽が立ち上がる
知っているはずの音なのに
どこかがちがっている

音楽を演奏することは
受け継ぎながら 変わっていくプロセスの一部
作曲も 変わっていくおなじもの
即興は くりかえし踏み固めた けもの道から
知らない脇道に踏み出そうとする
歴史と同時性の入り組んだ迷路のなかで

今月はここまでにしよう
つづきは また考えることにして

●4 反システム音楽論断片4

静寂を聴く
まわりの音すべてになじむ
音をメロディーの一部ではなく
切れかたや明るさ 音質がそれぞれちがう
単独事象とみなす

考えたり 計画なしに
ためらいがちに 風に揺れるロウソクの炎のようにたよりない音
それから沈黙

書かれた音のあとに 指定された音の範囲で演奏する
短いフレーズ
和音表

20世紀の音楽は
旋律と それを支える和声という 単線的時間と垂直な支配構造から
リズムと音色にもとづく多時間的水平組織に向かった

どの音色(声)も他の音色(声)を支配しないためには 
他の音色のために隙間を残すこと
他の音色の存在を意識しながら しかも自律的な進行をつづけること
それぞれの特異性をたもつことが必要になる
各音色が反復する異なるリズムとそれを区切る沈黙 
あるいは中断をふくんだ短いフレーズの反復
これら多様な輪(loop)の組み合わせは
回転しながら進む多時間の織物となる
ここで個々の声の反復は
反復の周期の重層がゆっくりした波をつくるが
他の周期との組み合わせによるずれにより
波はかき乱されて
複雑に伸縮する襞が折り込まれてゆく

単線的な時間構成が
緊張と緩和をくりかえしながら頂点へと向かう
一方向の統制と拘束力をもつのに対して
水平組織は自発的参加を原則とする
ちがう声との出会いによってリズムは揺れ
軌道からわずかにずれていく
ずれが大きくなれば
畳み込まれた襞が内側に収まらなくなり
全体が組み替えられて 波が方向転換することになる
この変化は劇的ではないし 目立たないが
気づいた時には もう引き返せない地点にいる
複数の逸脱から合成されたベクトルを 外側から制御することはむつかしい

ところで 輪というたとえは正確ではない
短いフレーズが終わり また反復されるとき
円を描いて出発点へたえずもどっていく輪とはちがって
終わりと次のはじまりの間には断絶がある
流れを中断しながら進むこと
その中断が音色ごとに不規則に起こることが
音楽を身体的なものにする
と同時に
中断による瞬間的な停止が
音色の差異の断面を乱反射する

●5 反システム音楽論断片5

ざわめく空間
聞こえる音を声として聞きなし
そこに音をもって加わる
それは名を持たない 顔を持たない
消えながら現れる地下流
とだえることのない ざわめきの流れのあちこちで
ちがう声の間のずれがひっかかり きわだたせる瞬間
そのきらめきが 織りなす音色の空間に 奥行きを暗示する

世界は世界化するとともに 破片の堆積に変わる
それらの破片に刻まれた記憶にしがみつくこともできず
流れに背を向けて流されていく歴史の天使 ベンヤミン
暗いトンネルを掘り進むペンと その先から滴るインクの描く物語に
ついていく カフカ
この世界の片隅で音を紡いでいても 
世界全体の変化に影響されないではいられない

ふりかえると
歴史が 一つの流れに支配されたように見えたとき
その対流も 姿を見せていた 
というのも よくあること

相反する二つのバランスで 現状維持するよりは
システムがふくれあがって すべてを覆い尽くしたとき
底の砂を巻き込んで引く波に足元をさらわれるような
あるいは 内側が空洞化して崩壊するような対抗する力が
システム自体から生み出されるかのようだ

色とりどりの破片を組み合わせるアラベスク
浜辺で貝殻をひろうように 
一つの音 短いフレーズ 和音 音型を集めて
1ページの紙の上に配置する
それらを駒のようにうごかしながら 
関係をつけていく
プリペアド・ピアノ ケージ

連動するリズムの織物が 自由にうごけるように
余白を残しながら 
周期からはずれた位置から入って 
語りかける 単純な線が 通り抜ける
リズムが急に断ち切られ 
支えをなくした線は しばらく漂ってから
落ちていく マイルス・デイヴィス

メロディーが低音のゆっくりした歩みの上に 安定して乗っていて
その中間にハーモニーが詰まっている
西欧近代の音楽の階級組織をこわして
ハーモニーから外れた低音が身体に直接はたらきかけ
リズムが不規則にからみあい
音が 音階や音符や和音といった構造を指し示す記号ではなく 
すでに演奏された音のサンプルの引用としてあつかわれる
1970年代以来のリミックスやダブ
感情を麻痺させる歌ではなく
図式にはまらない複雑な韻をもって社会批判するラップ
身体をうごかして 制度的な束縛に抵抗するダンス

ここにあるのは 音楽の現在の ひとつの現れ
美学や技術に還元されるのではなく
問いかけである生きた身体と
日常生活から離れないで
しかも実験でありつづける
音楽は 音を操作する技というよりは
音のために空間を設定する行為

●6 反システム音楽論断片6

どうしても ことばはことばを呼ぶ
何もしないうちに 理論だけが空回りする
そうならないように 目をそらして
視界に入ることばから 別な方向へ加速する
跳ね回るピンポン球のように いまは
先月の石田秀実に触発されて かってな夢見にふける

音のあらわれを待つ時間の長さ
あらわれた音を耳で聴くというより
身体を揺り動かす地震波のように
音は予期した身構えをはずし
その瞬間は はかられる線上の一点ではなく 
足元からさらわれて 思わず一歩踏み出してしまう
かまえもなく 音は音を呼ぶ
これが 即興でもあり
ある作品を演奏するなら
一つ一つの音の群れに 時間の弾みを帰していく試みになる
紙の上で音符を即興的に書き付けていくことには
別な問題がある
できるだけ速く書かなければならない
それでも 演奏する身体の速度には追いつけない
型は 一種の速記だが
閉じられた地域のなかで郷土芸術が栄えた時代はすぎた
共有する型や伝統は すでにみせかけのもの
それなら 現実の世界化を逆手に取って
引用の織物を作ること
異なる音階 作品 時代 文化の色彩の層と断絶による
短波ラジオのダイヤル
遠い声を伝える 世界の音楽化

メロディーとハーモニーの快楽にひたるのでなく
伝統の再興でもなく
それらも蔭の部分として含みながら
身体のリズムと批判のことばの両極の間に張られ
ストレッチによってやすらぎ
関係にひらかれながら 我を忘れる
音色の帆

著作権保護期間延長にさからいつつ
あくまで他者でありつづけること

●7 反システム音楽論断片7

空気の微妙な震え その変化が音となり
音を音楽という秩序におしこもうとする企ては いずれは破綻する
それが音楽史となった
究極の音楽と言えるものは だれも作れない
耳は響きに浸っていても 身体はやがてちがう音楽を要求する
身体を揺り動かす音の力は 音量ではない
かすかなリズムの揺れが身体の共振を触発し
その共振が自発的に内部で乱反射し 拡大して
身体全体を一つのリズムで揺さぶる
音はそのきっかけとなるもの
そのわずかな力がはたらきかけるのは
文化を 歴史を前提とした社会的な身体

音楽は すでにある音楽からできていなければ
身体に受け入れられることはない
そして そこに いままでなかった音が含まれていなければ
身体をうごかすことはできない
人間は いつも未知のものに惹かれるから
文化や歴史を創ってきた
そしてそれらは完結することはない
文化も歴史も したがって音楽も不満の表現だ
決して満たされることはない

振動の拡大は崩壊にいたる
吊り橋を渡るアリの群れの歩みが ついには橋を落とすように
めだたない一つの変化が 内側から全体に作用する
全体に共振する一点を発見するために ハンマーで叩いて
組織の弱い個所をさぐるように
実験が必要とされる

アフリカから輸入された奴隷たちが 数世紀かかって 
主人たちの音楽の時間枠をずらし
シンコペーションによって 対話する複数の声
抵抗する複数の時間を創りだしたこと
また
さまざまな色とかたちが組み合わされて
単一のイメージに収斂しないアラベスクのひろがり
としての音の世界を創ること

これらの実験によって
音楽は別な世界の夢でありうる


●prefigurative

望む変化を いまのありかたにする
音楽は変化の先取りの場
日常性は 哲学ではない
日記のように てがみのように
いまならブログか
ちいさなもののつらなりが
そのまま変化であるような
よわい音 ゆれるうごき
音のスケッチ
断片でしかありえない感覚
はじまりも終わりもない
途中も途切れて
まがる線のからまり
唐草
くりかえしのない
おなじもののない
対立もない
ずれる中心
とける結び目
ほそり
かげり
かるみ
しおり
わけいる
しみわたる

来るべき年のしごとに







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