旅のひと・豊住芳三郎
はじめて会ったのは1976年だと思う。 LP『TWILIGHT』を日本コロムビアで作ったとき富樫雅彦といっしょにパーカッションをやってもらった。1977年中山千夏ソングブック『ぼくは12歳』でもパーカッションはサブさんだった。
その後誘われてジョン・ゾーンやネッド・ローセンバーグ、トム・コラ、ペーター・ブロッツマンとあそんだ。毎年のように年始めにセッションをつづけたこともあった。おかげで即興ができるようになったと思う。
以前のサブさんは楽器だけでなく、なんでも叩く打検士のようだった。物それぞれの響きが返ってくる。次に何をためそうか、待ちきれない気持が伝わってくる。
サブさんは何十年も世界をまわっている。2016年の秋、深谷のホール・エッグ・ファームのブロッツマンとのセッションで ひさしぶりに会った。打楽器の数が減ったような気がしたが、音の空間はかえってひろがっていた。二胡も伝統的なプレイとはまったくちがって、なにかふしぎなうごきだった。