ヒマラヤ周辺で採れるブラックソルト(黒色岩塩)の酸化還元力がすごい、という話を小耳にはさんだ。おっ、それなら何種類か持っているはず、と棚の奥をごそごそすると出てきましたブラックソルト。バングラデシュの市場でもらった濃い紫色の親指の先ぐらいの塊が幾つか、インド東北部のダージリンの市場で買ったせっけんぐらいの黒い塊、インドのコルカタのスーパーマーケットで買った粉末のものもある。
どれも手に入れた場所の風景がすぐに浮かんでくる。旅先でその地の海水塩や岩塩を手に入れるのは楽しい。それを料理に使うのも楽しい。ブラックソルトはめずらしい色合いなので、食べずにとっておいた分だ。むう、岩塩の塊を見ていたら、インドに行きたくなってきた。
岩塩は産地によって味や成分がかなり違う。ヒマラヤンブラックソルトはパキスタン、インド北部、チベットなどヒマラヤ山系の周辺で産出される。日本に輸入されているものの多くはパキスタンのケウラ岩塩鉱山産だ。塩なのに色が赤黒くて温泉卵のような匂いがする。いや、硫黄系の温泉の匂いそのものといっていい。おなじくヒマラヤ岩塩でもピンク色やオレンジ色のピンクソルト、と呼ばれるものもあるが、こちらは硫黄の匂いはしない。
ヒマラヤンブラックソルトは太古の時代の激しい地殻変動で内陸に閉じ込められた海水が塩湖を作り、その塩湖が長い時間をかけて蒸発し、ヒマラヤ造山運動によって地層に閉じ込められてできた。その過程でマグマに触れ高温で焼かれたことで、成分に硫黄や銅、鉄、亜鉛を含むことになったようだ。いわば、何億年も前の海水の化石である。
ラブリーなピンクソルトはブラックソルトに比べて鉄分、カリウム、硫黄が少なく、亜鉛と銅はまったく含まない。逆にカルシウムやマグネシウムがかなり多い。マグマに接触した距離や時間の違いなのだろうか。ピンクもブラックも心配な放射性物質や危険な重金属は含まれていない。
さっそく、ブラックソルトの塊をゴリゴリと削り、水に溶かしてORPメーターで酸化還元電位を計ってみた。ちゃぽんとコップにメーターを入れてスイッチを押したとたん、あっというまにくるくる数字が動き、マイナス272で止まった。ワオ、-270mv!これはすごい還元力。
酸化還元力というのは、数字がマイナスになるほど還元力が強い。還元力が強いというのは、活性酸素(酸化)を還元する力が強いということで、身体においては細胞レベルでの若返りを促進する。水素水がブームになっているのも、水素が自然界でもっとも高い還元力を持っているからだ。
ちなみに日本の水道水はだいたい+200~500mvぐらい。純水の還元電位は+200mvで、それ以下から還元力を持つと言われるが、塩素の多い水道水はめったに+200以下にはならない。+200mv以上の状態は、これを飲んだり、触れたりすれば体が酸化し、傷つき老化するということである。感覚としては+200mv以下なら身体に悪くはない。マイナスに行くほど体にいい。
おもしろいので、手持ちの各種の岩塩や海水塩の酸化還元電位を量ってみた。まずはインドのスーパーで買ったブラックソルトの粉末。袋を見ると100グラム入りで5ルピーと書いてある。安い‥。10円ぐらいかな。偽物かもしれない。とりあえず、計ってみる。これまた、あっという間に-262mvを記録。すみません、本物でした。すばらしい。
以下、基本的に50㏄の浄水に、かる~く塩ひとつまみ。飲んでみてほのかに塩味を感じる程度の塩水の電位である。参考までに水道水と浄水器を通した水も計っておく。
・京都市の水道水‥+255mv
・ウチの浄水器の浄水‥-63mv これは水素発生器付き浄水器なので、本当はもっと還元力が高くあるべきなのだが3年目となると能力が低下してきたようす。ちなみに普通の浄水器の水は基本マイナスにはならない。+150~+200mvぐらい。
・カンホアの塩(ベトナム海水塩)‥+35mv
・真塩(メキシコまたはオーストラリア産海水塩)‥+30mv
・タイ海水塩‥+30mv
おやおや、海水塩はだいたい+30mvである。海はつながっているものね。
次は岩塩シリーズ。
・ヒマラヤロックソルト‥-270mv(インドで入手)
・ヒマラヤピンクソルト‥-24mv(パキスタン・ケラウ鉱山)
・モンゴルの岩塩(ほのかなピンク色)‥-55mv
・タイ岩塩(塩井戸からの塩水くみ上げで作る塩)‥-109mv
・タウデニ湖岩塩(マリ共和国)‥-176mv
岩塩は海水塩よりずっと還元力が高いが、同じ産地のヒマラヤピンクソルトはあまり高くない。ブラックソルトと比べると、還元力はわずかだ。タウデニ湖の岩塩は幻の岩塩で、戦争のため今は入手が難しい。白い塊の塩だが、かすかに不思議な味がする。ケイ素が豊富と聞いたのでその味かな? タイ北部の塩の井戸からくみ上げる水を煮詰めて作る塩は、岩塩層の上に地下水があり、塩分が溶け出して塩水が出来ている。意外にいい数値。味はあまり奥行きのないふつうの塩味なんだけど。ラオスの塩井戸の塩はわりと深みのある味だった。おいしかったので、みんな食べてしまい計れないのが残念。
モンゴルの岩塩つながりで、炭酸水素塩である重曹も計ってみた。
・モンゴル天然重曹‥-104mv
・パックス重曹(化学合成品)‥+160mv
重曹については、ガンに効くとか病気にいいとか諸説あるが、その真偽のほどはまだ追及していない。うがいに重曹水を使うのが歯や歯茎にいいのは実感している。どちらにしても、化学合成品よりも天然重曹が身体にいいのはこの結果から一目瞭然。うがいや歯磨き、料理には天然重曹を使ってください。手持ちの合成品重曹はおそうじに。とくに天然、とか産地が書いてなければすべて合成品とみて間違いない。
以前に紹介した白米の3回目のとぎ汁を一日置いて作る「とぎ汁還元水」は、そのときの米やとぎ汁の濃さ、気温などに左右されて還元値は一定ではないが、この日のわが家のとぎ汁の還元水の電位も計っておこう。あまりうまくいかないときは-100mvぐらいのときもある。夏はうまくいくと-400mvぐらいになることも多い、簡単で驚異の還元水。2日以上置くと臭くなるのだけが難点。今日は、寒いせいかまあまあの数値。
・無農薬米の白米とぎ汁還元水‥-180mv
おまけで届いたばかりの日本酒「出羽の雫」もそのまま計ってみたら、+58mvであった。水道水を飲むよりずっと体にいい? ちなみにいつも飲んでいるプーアル茶や紅茶も計ってみたことがあるが、だいたいマイナスにはならないものの、+50~30程度でかなり優秀。市販のペットボトルのお茶やジュースはまだ計ったことがないが、たぶんかなり悪そう。いつか測ってみよう。
人間の身体は酸素を取り入れて活動するために常に活性酸素の毒にさらされており、それを常に酸化還元している。(人の身体の正常な酸化還元電位は-250mv)それが追いつかなくなると、身体が老化し、ぼろぼろになり、病気になったりする。つまり、自分の身体に酸化した水や油や食べ物、化粧品などを注ぎ込んでいると、その還元に追いつかないどころか、酸化を加速させるわけだ。
身体に入れるもの、触れるものを還元力の高いものにすることで健康を保つ自分自身の還元力をサポートすることができる。毎日飲んでいる水分が2リットルあるとして、これがすべて酸化した水分、つまり還元電位が+200以上のものだったら? 体は外から入ってきた酸化した水分までも還元しなくてはならない。自分の細胞を健康に保つための還元がおろそかになるのだ。
すばらしいヒマラヤの岩塩だが、電位を見て分かるようにピンクソルトよりもブラックソルトが断然体にいい。ブラックソルトは硫黄の匂いがするので、飲んだり食べたりするのに抵抗を覚える人もいると思う。でも加熱すれば硫黄の匂いは消えるので心配はない。独特のコクがあるのでぜひ料理にも使ってみて。海水塩にくらべてミネラル分が大変多いので、隠し味にも大活躍。
まずは朝起きたら、コップ一杯の水にかすかに塩味を感じるくらいのブラックソルトを溶かし、ぐっと飲むのもおすすめ。ほんの少しの塩分なので、塩の摂りすぎにもならず、ミネラルも補給でき、酸化還元力も強力補給。夜寝る前にももう1杯飲めばさらにいい。効果を実感するには毎日続けることが大事で、たまに飲んでいるようでは効きません。
食べるだけでなく、お風呂に大匙2~3杯ぐらい入れるとヒマラヤ温泉の出来あがり。これは、もう本当に気持ちがいい。浴槽に直接、粉を入れると浴槽の素材によっては色が着いたりすることもあるので、桶などでさっと溶かして混ぜること。足湯で使ってもぽかぽか。粉末状のブラックソルトはネットでも簡単に買えて2キロで2000円以下。身体の調子がなんとなく悪い、免疫力がどうも落ちている、風邪が長引いて治らない‥あなたのためにヒマラヤからの贈り物。