n次元の……――翠の石室53

藤井貞和

カゼの犬、カゼ引きの犬、
風のいぬ、ユキの犬

雪のいぬ、
カゼも、ユキも、ポチも、コロも

降ってこい、天より
降りたくない、帰りたい

アメのポチ、アラレのコロ
砂あらし、mine(鉱山、私の、地雷)

My my my mine? (私の 
私の 私の 何?)

(「絵画は鏡の向うのn次元の明証となるだろう」〈瀧口修造〉。古書店の目録から、ページ1枚欠、と断り書きのある画集を購入した。欠けているページを、古書店はどうして確かめられたのか、どうしても分からなくて、夕方を過ぎるまで、いつになく熱心に画集を見てしまった。欠けた1ページが見つからない。欠けているのだから、それでも探してしまう。「6の目の骰子を振りながら、その実は7の目をもとめているのではなかろうか?」〈同〉。あの1ページは、いたずら好きの古書店主が私へ仕掛けた7の目? 探した画集は{骰子の7の目}シリーズの一冊。)