111ミドゥー海――船名

藤井貞和

言語丸 黒い雪丸 硬い土受ける
言語の黒い雪 硬い土丸 受ける
ミドゥー海 黒い雪硬い土受ける
言語 黒い雪硬い土丸は 受ける
言語 黒雪(くろゆき)丸硬い土
言語 黒雪 硬い土「受ける」丸
黒雪硬土(かたつち)丸 言語の
黒い雪 硬い土に還す 言語の黒
雪丸 硬い土へ「還す」きみの丸

(『核の海の証言』〈山下正寿〉によると、第五海福丸、第八順光丸、第二幸成丸、第十一高知丸、第七大丸、第二新生丸、第十三光栄丸、第七清寿丸が、第五福竜丸のほかに、高校生たちの調べ上げた証言であり、船名です。これらの船名を「日本の記録」は書きとどめておこう。「砂の女」〈安部公房〉ではない、「水の男」を問うと、メールをきのう受け取りました。「水の女」〈折口〉は硬い土のしたに還る。「ひょっとこ」の語源は「火(の)男」ですが、炉心を吹きまくる火の男ですよ、とりかえしのつかない日本語〈言語〉だと言うのにね。オデュッセウスは船名を連ねて。)