夜のギター話し

笹久保伸

ある夜 終電で家へ帰る 時刻00:15
駅を降りるとギターの音が聞こえる
家は逆なので普段はそちらの方向へ帰らないが その日は自転車を別のところへとめたので 音のする方へ歩み寄る
「お?君は・・・」
知っている男だ 少しだけ
何してるの? 何でここで弾いてるの?

「俺、今ブルーなんです、実は最近生活に困っていて、明日このギターを売りに行きます、だから 今ここで弾きおさめしていたんです」

そうか ギター売るのか
「そう 一人暮らしするんで 色々必要なんです」
大変なんだね

ついでにちょっと弾いてみる 
ぽろろん ぽろろん がががががー

ここで見回りの警察が登場
「ちょっと君たち何してるの? へ?、ギター弾くんだ、ちょっとアルハンブラの想い出を弾いみてよ」
仕方ねーなー
てぃーらーたーらーたー、てぃーらーたーたーりーたー(音楽)
「い〜ね〜、クラシックギターはいいよねー。俺もギター弾くんだ 結構いい値段のマーチン持ってる。でも忙しいし 家庭があるからもうあまり弾けないんだよ、でも弾きたいんだよな。」

別に家庭があってもギターなんて弾けますよ それが趣味ってもんでしょおまわりさん

「そうかー そうだな、またやろうかな。じゃあもう遅いから 家に帰りなさい、あまり夜中にここにいてもらうとよくないからさ」
それを言うために アルハンブラの想い出を弾かせた おまわりさん