演劇

笠井瑞丈

オィデプス王
初めての演劇
役者になりたいと
思った十代の頃
なんのキャリアもなく
なんの知識もなく
仲代達也さんの
無名塾を受験
当たり前のように落ち
役者願望は一瞬で消え
言葉の道から身体の道に
それが正解だったのかは
今となっては分からない
ここに来て巡り巡りって
初めて演劇に挑戦できる
初めて間近で見る役者のセリフ
莫大な量のセリフを覚える主役
カラダが踊ってるように感じた
言葉でも身体でも結局表裏一体
言葉が世界を作り
言葉が身体を作る
演出家の細かな指示
空間に対して身体の立ち方
言葉の母音や子音の出し方
やがて新しい世界が生まれ
言葉の輪郭が作られていく
そして物語が始まる

1カ月間都内のスタジオに通う
そんな稽古も今日が最後だ
やれるか不安の日々だった
台本を毎日片手に
車の中で発声して
いくらやっても覚えられない
きっと覚えるのではなく
カラダの中に溶かす感覚なんだろう

7月は東京
8月は地方

やっとやっとゴールが見えてきた

新しい事に挑戦する
新しい自分に出会える瞬間