正月がふたつ

仲宗根浩

こんなにキツイ「赤の他人」の死は初めてです。
十二月に友人から届いたメールに書かれていた。はじめはドラマー青山純。次にムーンライダーズのかしぶち哲郎。最後に大瀧詠一。大晦日は久しぶりに仕事も休みだったので実家で過ごし、紅白で泉谷しげるのバックでドラムを叩いている上原ユカリ裕の姿を確認する。村八分、ごまのはえ、シュガーベイブのドラマーとして。また大瀧詠一、山下達郎、ジュリー、忌野清志郎のアルバムやライヴにも参加していた。青山純が山下達郎の「ペイパー・ドール」での上原ユカリ裕のノリ、それを自分が演奏する際に納得いくノリが出せるまでかなり時間がかかった、というようなことを掲示板に本人が書いていた。最近、ブログよりもそのひとの発言はツィッターやフェイスブックでしか確認できないことが多い。まして掲示板などセキュリティでブロックされる。つぶやくことも実名登録することもしていない自分あてに友人からのぞくことのできないネットワークからの情報が届く。

年が明けて若松恵子さんより「Raindrops」のきまぐれ飛行船特集号が届く。読み終わると「キツイ」のがかなり軽くなった。夜中に今年初めてCDを注文する。プレスリーの五〇年代から六〇年代初頭のアルバムを集めた四枚組をふたつ。最初に「ブルー・スエード・シューズ」から始まる。ジョン・レノンもカヴァーしていた。そのレコードのライナー・ノーツにプレスリーのヴァージョンよりオリジナルのカール・パーキンスのヴァージョンが好みであことが書かれていたような記憶がある。後にオリジナルのカール・パーキンスもエルビスのスタイルに変化することを大瀧詠一が一昨年のアメリカン・ポップス伝で紹介していた。

昔、成人の日だった日の明け方、右のこめかみの少し上あたり1センチくらいの裂傷、ニット帽に血を付け、指や足やらに擦り傷をつけて、これ以上公けにできないくらい醜態をさらして帰ってきたらしい。記憶がさだかでない。起きたら頭や指やらに絆創膏が貼られていた。ネット接続しかできないスマホも無くしたらしい。酒量を昨年から減らしていたけど調子こくとこういう目に遭う。怒られる。

旧の正月、年末に受けた健康診断の結果が届く。ガンマGTPの値は順調に正常に近かづき体脂肪率も順調に下がり18%台。だが悪いほうのコレステロールが上がっていたのでこのままだと投薬します、ときつい口調で言われたが。頭から血を流しても記憶が確かでないことからなおさねば、と思いながら実家からの旧正月のご馳走のおすそ分けをつまむ。