dumortierite

璃葉

デュモルチ石、という鉱石を、山のなかで採掘した。デュモルチ石は乳白色や灰色をしたロウ石に混ざる青い部分。曇間から顔をのぞかせる青空のようにあざやかなのだ。辿りついた目の前にある崖には、どうやらロウ石がびっしり詰まっているようだった。ずいぶんと掘られているから、デュモルチ石を探しにここまでやってくる人は多いのだろう。

たくさんの樹々にかこまれた岩場はひんやりとしていて、たまに吹くそよ風が気持ちいい。ロックピックハンマーで岩をつつく音が森に響く。崖から採れた石は冷たく濡れていて、ゴツゴツしているが、柔らかい感覚もあった。

石を小さくしたり、断面を見るために、ハンマーで割る作業もまたおもしろい。ハンマーで簡単に割れる箇所と、そうでない箇所がある。くら叩いてもうまく割れない部分には「脈」が通っていないらしい。石には見えない脈が張りめぐらされていて、そのツボを叩くと石はおどろくほど素直に割れる。

石切り場などの職人は、石の脈を心得ていると聞く。脈、ということばを聞くとまず、わたしはとても熱い、得体の知れない力強さを想像する。でも、同時にもっともか弱い部分でもあるのだろう。

石や植物、動物、この惑星も繊細な脈だ。ロウ石を手にとって、透明な川の水で洗う。泥は綺麗に落ちて、ところどころに青を見つける。デュモルチ石のあざやかな青を探すことと、石を割る作業で、時間はあっという間に過ぎていった。そのうち、石の脈の軌道も読めるようになれば、もっとたのしくなるのだろうか。
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