梅雨です

仲宗根浩

試験ではちゃんと聞こえたJ-ALERTというもの、いざというとき聞こえないじゃないか! やる気のないことがわかったので、四月はひきこもることにした。

仕事以外、外出はしないでひたすら要らないものを捨てる。出てきたのがアップルのメッセージパッド130。あのニュートンOS。周辺機器も含めて捨て! これで我が家のアップル製品はガキのiPodのみ。それからまだ出てくる、必要のないフロッピーやCD-ROM類も多数捨て! これでパソコンまわりは少しすっきりした。部屋が少し広くなる。

そんなことをやっていたらザ・バンドのレヴォン・ヘルムの訃報をネットで見る。ついにザ・バンドのヴォーカル三人がいなくなった。中学生の頃、音楽誌でザ・バンドの解散コンサート「ラスト・ワルツ」のグラビアがかなりのページで掲載されていた。それを見たあとしばらくして発売された「ラスト・ワルツ」の三枚組LPを購入する。手っ取り早くいろんなミュージシャンを聴ける絶好のアルバムだった。ザ・バンドに関しては「ラスト・ワルツ」が最初で、それ以前のアルバムはかなりたってから聴いた。リチャード・マニュエル、リック・ダンコ、レヴォン・ヘルムという声質、スタイルも全然違う稀有のシンガーがいた奇跡的なグールプ。iTuneのなかに取り込んだロックバンドのプレイリストで、「The」をつけているのはザ・バンドだけ。The Band だけは別格。

久しぶりに中学の頃の友人からメールが来る。商社に勤めるやつがモスクワ赴任になり、集まるから熊本に来い、という。「ばかたれが〜、そぎゃん急に行けるわけなかろうが」と返信する。ロンドン、ニューヨークときて齢五十前にしてモスクワ。会社組織に属しながらも適当に距離を置きながらふらふら生きてきた人間にとっては別世界の話。

四月の沖縄はしーみー(清明)。うちは二十九日。その前日入梅の発表。前日にお墓の掃除に行き、当日は土砂降り。墓へ行き、お茶、水、花、お線香を供え、母親が雨のため墓前ではできないことを報告し、実家の仏壇で行う。初めての仏壇前での清明祭。

蒸し蒸しの季節がやってきた。