四辻のブルース その二

仲宗根浩

十月にライ・クーダーの八十年代のアルバム及びサントラが紙ジャケ、リマスタリングされたのをまとめ買いしたのを始め、十月のマイルスのボックスセット、そして十二月はジミ・ヘンドリックスの全アルバムが紙ジャケ、SHMーCDとなって発売。これまで手を出してしまうと、クロスロードで悪魔に魂を売ってしまうことになるので堪えた。それで夜な夜な、修理したギターを手に取り弦高を調整し、オクターヴ調整をしこしこやりながら、マイルスのボックスセットを最初から聴こうとおもうと、おもっきりジャズだった。まああたりまえだ。最初にレコードで耳にしたマイルスの演奏は「バグズ・グルーヴ」だったなと思い出しつつジャズどっぷりは疲れる。自分がリアルタイムだった復活した八十年代から聴きはじめた。そのころのライヴレポートではいろいろ叩かれていたなあ、と思い出しながら、聴くとファンクとロックでやられた。久々に聴いたマイク・スターンのギターはミーハーのこころにくすぐり、エフェクターのコーラスをかませてマイク・スターンごっこしたりして遊んでいたら、毎月に千六百円ぐらいしか使われない携帯電話に緊急出勤体制のメールが入る。年末の休みがすべて吹っ飛んだ。昔から年末、正月は仕事が入るようになっているし、世の中お正月休みを貰えるのはわずかな人々だけと思いつつ、仕事場で声だし動き回る。

知り合いから普天間基地のことに触れたメールが来た。うちは嘉手納基地の近くだから近辺の住宅は防音工事というものが施されている。窓をアルミサッシにしてクーラー及び換気扇が備え付けられただけの防音。でも飛行機が上を飛んだらテレビの音は聞こえない。ここ最近のニュースでの「普天間」のイントネーションに違和感を覚えながら、取り上げはするけどそんなに興味がないんだろうなあ、とおもいながら、晦日にクリームとは全然違うライ・クーダーの「クロス・ロード」のカヴァーを聴いて、いつものように酔っぱらいながら寝て起きたら仕事に行く。