自転車を買う

三橋圭介

自転車を買う。折りたたみ式の小型のRoverで、毎日一回朝8時頃から40分くらい乗る。車輪が小さいので小学生にも追い抜かれていく。いく道は2つくらい、まず白楽の家から片倉町経由で新横浜、菊名、白楽というコース。横浜駅というコース(片道16分)もあるが、これは短いし、あまり景色もよくないのでやめた。もうひとつは三ツ沢経由で東神奈川、白楽コースでは梅、桜並木を眺めることもできる。東横線沿いは山沿いなので多少の坂はあるが、自転車を降りて歩かなければならないほどの急坂はない。最近は新横浜コースをスイスイと進んで、朝の体操がわりにしている。なぜ自転車を買ったかというと、一年間自宅でオンライン授業をやっていたこともある。新学期からはほぼ毎日学校に行くので、体力づくりということでもいいかもしれない。これまでに自転車はなん度か購入し、盗まれたり、マンションの駐車場に放置して破棄されたりしてきた。実際、自転車に乗るための用事がなかった。買い物にはCOOP(生協)がすぐ近所にあるし、コンビニも2軒ある。この環境で自転車に乗るならば、乗ることを目的としなければいけない。でも私は方向音痴である。実は新横浜コースを探すのに苦労をした。暗くなってどうやって帰れるか、こっちか、あっちか、そっちか、どっち? さんざん迷走したあげく、「すべての道はローマに通ず」と何度も心でとなえ、ようやく一本の道を見出し、そしてくり返した(一度、新横浜コースを逆行してみたが、行きつけなかった)。折りたたみ自転車なので帰れなくなれば、最終手段としてタクシーか電車に乗ればいいと思いつつも、それではいけないと思いガラホ(INFOBAR xv)からスマホ(Iphone12 mini)に乗り変えて、Google Mapを携えた。しかしスマホを見ながらのサイクリングはつまらないことにすぐ気づく。結局スマホは使わずに固定したコースを少しずつ逸れながら彷徨うことにした。わが愛車Rover、その意味は「放浪者」、その名にふさわしいサイクリングを目指していく。