シリア人が赤べコを作ってしまったというコピー能力に驚いたという話。

さとうまき

8年前の3月といえば、日本は東日本大震災、シリアは内戦が始まった。2つの国を比べてみよう。

福島の原発事故では県内外の避難者数の数は、164,865人(ピーク時、平成24年5月) –> 43,214人(平成30年12月)
日本は安倍総理が音頭を取り「全く問題はございません」と2020、オリンピックに向けて復興を急いでいる。最も汚染が激しかった原発のある大熊町は、全町避難が続いていたが、帰還困難区域以外の避難指示が4月10日に解除されることが事実上決まった。

こういう話を聞けば、「日本はすごい!」「復興しました!」というサクセス・ストリー! しかし、そもそも、使用済み核燃料の捨て場も決まらずに、原発にたより、事故処理に膨大なお金を費やして、しかも、核燃料デブリも取り出すことはできず、廃炉のめどは全く立っていないし、地下水が流れ込んで、大量の汚染水がたまる一方だ。

人間の愚かさの象徴を世界にさらしていくことが明るい未来を作るんだろうなと思ったりする。

一方シリアは、8年間の内戦で600万人もの難民を出した。アサド大統領のもと、治安はかなり安定してきて、復興を高々に掲げたいところだが、欧米諸国は、アサド大統領の退陣を求めてきたから、援助も渋っているようである。

こちらも、勝利宣言というよりは、戦争をする人間の愚かさを感じ、なんだかとても、むなしく、哀しい。

この3月に、福島とシリアから、人間の愚かさを表現できないかと考えてみた。そこで、白羽の矢があたったのが赤べこだ!

実は、今イラクにいるシリア難民が、赤べコの作り方を覚え、アラビア語の古新聞を使って張り子を作り、ビジネスを展開しようとしている。絵付けは、サッカーのユニフォームにすれば、世界中のサッカーファンが買ってくれるので大儲けできる。(はず)赤くないので、サカベコと呼んでいる。

故郷に帰れないシリア難民とシリアにいる子どもたちが憎しみあうのではなく、一緒にサカベコを作れれば、いいなあとおもった。もちろんシリアのナショナルチームのユニフォームがいいのだが、そういうのは、政権のプロパガンダに利用されてしまうこともあり、人間の愚かさを表現できなくなってしまう。

そこで思いついたのが、福島のサッカーチームのユニフォームをペイントするというもの。福島ユナイテッドFCの開幕戦に合わせて作ろうとしたが、シリア難民には作ってもらったが、残念ながら、シリア国内には僕自身行くことができず、今回はあきらめざるを得なかった。

しばらくして、ダマスカスからビデオが届いた。それがこちら⇩
https://www.facebook.com/maki.sato.7330/videos/10157032551829076/

なんと、赤べコを作ったというのだ。実は、昨年の9月にシリアに行ったときに、赤べコをお土産に持っていった。子ども文化スポーツセンターにも持っていったら、彼らがそっくりコピーして赤べコを作ったというのだ。

張り子のべコは、僕自身何度も会津に行って老舗のべコ屋さんで修業したのにいとも簡単に作ってしまった。粘土で雄型を作り石膏で雌型を作って、シリコンを流し込んだ。しかも首がちゃんと動く。シリア人の器用さには驚いてしまった。

次は、ぜひともダマスカスに行き、彼らと一緒に、もっと不条理なサカベコを作りたい。もちろん、戦争で手足を失った子どもたち難民の子供たちも一緒に連れていきたいものだ。