僕は数日前からメソポタミアにいる。つまりは、現在でいうところのイラクにいる。目的は、ギルガメッシュの物語のデジタル紙芝居の絵を頼まれたのでその取材のために博物館や遺跡を回っている。
20年以上前に、初めてイラクへ行った。バビロン音楽祭に参加する人達をコーディネートするように当事のイラク大使館から依頼されたのである。イラク戦争が始まろうとしていた2002年のことで、メソポタミアがどうのという今から5000年以上の前の話などには全く興味がなかった。アメリカがハイテク兵器を用いて攻撃してくるのに、日本で言えば縄文時代とか弥生時代がどうのと言ってる場合じゃない。
ところが音楽祭に参加するメンバーの日本人には、メソポタミア文明オタクが一人混ざっていて、遺跡に行きたいとめんどくさいことをいう。イラク政府も自分達こそ世界で一番最初に文明が栄えたことを強調して、アメリカへの抵抗心をあらわにする。メソポタミアは、政治的なプロパガンダとして使われていた。政府の案内で博物館も連れて行ってもらったがあんまり記憶に残っていない。
それが今回訪問したら、すごいのである。2日間通い模写したりしてタイムスリップしたりしている。バスラに辿り着いてこの文章を書いている矢先に停電だ。
詳しくは次号で。