今年は60年に一度の丙午の年である。というわけで、今回は馬にちなむジャワの芸能を紹介してみよう。ジャワ島各地に平たい馬の作り物にまたがって踊る踊りがある。インドネシアのパフォーミングアーツ事典には、この芸能は駒踊りと呼んでも良いだろう。それらは、クダ・ルンピンkuda lumping、クダ・ケパンkuda kepang、ジャラン・ケパンjaran kepang、ジャティランjathilanなどと呼ばれる。クダやジャランは馬の意味。ケパンは編むという意味で、クダ・ケパンやジャラン・ケパンは竹ひごを編んで作った馬を指す。また、ジャティランはジャワ語の”jaranne jan tjil-thilan tenan”(不規則に踊る馬)を短縮してできた語らしい。不規則にということは、即興的な要素が強いということである。クダ・ルンピンやクダ・ケパンは西ジャワの呼び方で、ジャラン・ケパンはジャワ島中部、ジョグジャ、東ジャワの呼び方らしい。
この芸能は地方で盛んで、私が留学していたスラカルタではよそからくる大道芸のものしか見たことがない。彼らは他にガラスを食べたり、火を噴いたりするようなトランス系の芸能も同時にやっていた。それ以外には東ジャワ、ジョグジャカルタ、西ジャワで見たことがある。東ジャワではポノロゴで見た。レオッグ(巨大な獅子頭をかぶる芸能)と共に上演されていたが、レオッグにはつきもののようだ。私が見たジャティランは大勢の女性だけのグループだった。また、ジョグジャカルタのものは地方芸能フェスティバルのような場でいくつかのグループの公演を見たが、全部男性ばかりのグループだった。西ジャワで見たときは大勢の踊り手がトランス状態になるものだったが、西ジャワはなべてそうなのか、グループによるのかは私にはまだ分からない。
馬の作り物の装飾は地方や団体によっていろいろで、彩色が派手だったり、馬のたてがみとして本物の毛をつけているものも多い。騎馬武者を描いているので、女性の場合だと男装の麗人という感じのファッションになる。激しい音楽で騎馬武者同士の戦いを描いている。中には踊り手がトランス状態に入るものもある。