八月璃葉 真昼の通り雨は子供の足音を真似て 愉快に家々を走り回りながら 蒸し鍋の中に座り込む少女に晩夏を知らせる 老いた月と黄金色の灯りを空から吊るすと 色褪せたはずの秋が微かに橙を吐き出した あの日生まれた死に部屋には 朝焼けを映す雨雫を垂らそう きっと暗緑の夢から抜け出せられるはずだから