アジアの燃える ゴースト、鉈かざし、喉ぬらし、
危機の奇蹟の椅子引けよ また、
血が浦添によって、空の燃える ゴースト。
鉈に、だれがなのか、
光、慈悲、波紋、うろくず(=鱗、魚)か、
業苦か、塵の身。
翁長知事、自治がなお、
御法(=みのり)近く、うごかず。黒雲母は 聖(=ひじり)か、
悲歌の流れだに、タナトス 驕る。
獲物ら、蘇鉄よ 煮え、空穿ち、弾よけ、
翡翠の輝石の、聞き知らぬ、どの視座か、
タナトス驕る獲物、アジア
(『琉球共和社会憲法の潜勢力』〈川満・仲里編、未来社〉から慈悲ということばをもらい、高良勉『言振り』〈未来社〉を眼前に置いて、「こちら特報部」〈東京新聞2015/4/11〉を利用して、回文詩はこれでさいごにします。翡翠輝石はいわゆる翡翠。回文はもの凄いエネルギーを要し、半分はこちらがわが選ぶ語句ですが、半分は作品の向こうがわから来る語句なので、ことば遊び詩とはいえ、たぶん言っていることは正しいと思います。『びーぐる』27(澪標、2015・4)に、八重洋一郎さんが、「先ごろ所用で二週間ほど東京に滞在していたが、しばらくしてある事に気付いた。それは沖縄についての情報が極端に少ないということである。沖縄現地では毎日毎日、名護市辺野古への米軍新基地建設に反対する住民たちの動向が報じられ、……本土側にはこのような事態はほとんど知らされておらず、従って日本の全面積のわずか0.6%にすぎない沖縄に在日米軍基地の74%が集中している事実が引き起こす様々な出来事に全く無関心である」〈詩と沖縄の現在〉と書き出しています。朝日新聞ディジタルサイトをひらいてみると、なるほど新着ニュースが100ほど並んでいて、沖縄関係は一つも見つからなかった。メーカーの新製品の話や芸能ニュースやあれこれが満載で、朝日新聞はまったく腑抜けになったのか、隠忍自重しているのか、よく掴めないが、二つや三つはさりげなく沖縄住民大会の予告記事でも映画記事でも出して、大新聞の役割どころ、本土人に向けての回路を失わないでほしいな。八重さんのような思いに対して応えてほしいとふと思いました。むりかしら、ね。さすがに本土のいくつかの市議会が沖縄での過重な負担に対して見直すようにとの議決を試みているようで、少数とはいえ貴重です。ドローンに辺野古岬から採集してきた「泥〈どろ〉―ん」を積んで、もし運転できるならば飛ばしてみたいな。どろーん。)