1ミリグラム――みどりの沙漠43

藤井貞和

1ミリグラムの「いのち」、

あと1ミリグラムがほしい、

一滴を沙漠に。

沙漠のちいさな、

にんげんのかくれがに、

一滴が足りなくて。

どんどんちいさくなってゆくひとたち、

いまや、

砂粒となって。

この点滴が、

いのちのあした、

いのちの砂でありますように。

(辺見庸『たんば色の覚書』〈毎日新聞社〉より。じんるいが太古からずっとつづけているのは戦争と差別と死刑とです。クラスター爆弾で自分の赤ちゃんの頭を割られたお父さんが、こぼれ出てくる脳みそを泣きながら頭へ戻している〈辺見さんの見た映像から〉。12月25日〈2006年〉、クリスマスの日に4人を死刑した日本政府に対し、さすがにカトリック国から抗議が来たそうです。1ミリグラムがいつかは1グラムに、10グラムにと、最初のミリグラムは軽くても、増やしたいことです。)