翠の韻文95――終わりは来るか(2)

藤井貞和

まさか! 三月を、怒りの子、飢餓によ、満ちて、しずかな叫び。火の斧、火の粉、見し中の、皆か、否! 震源は、しばし半減し、地震(=ない)か、波の哀しみ。この日、NO(ノオ!)の日々、けさ鳴かずして、魑魅(=ちみ)よ、苦(=にが)き、この理解を継がん、逆さま(回文)

(〈家の除染が終わると、30日から庭の除染がはじまる。庭の薔薇20本を嫁入りさせる。秋の虫が鳴き出して、なぜか、だみ声に聞こえる。声の聴こえる日は余震がないようだ。1500軒の除染で、今年いっぱいは騒音のなか。朝から地下水が西から東へ、すこし動いた。二軒となりで数軒ずつ、除染の穴を掘っているせいかしら〉と、福島からのけさのメール。回文は宋詞を創るのに似るかもしれない。韻を重ねて意味を求める。無理もあり、詩語、古語も利用される自由詩。韻文なのでは。)