爆翠(睡り)98――spirited away藤井貞和 むなしく ここに来ず いたましく 神か かつ、この 新月、雲に舞い 楚国よ つと、ふるさとに かず知れぬ からき 汨羅(べきら)か 濡れ しずかにと去る ふと、つよくこそ いまにも屈原 詩の国家 神隠し また いずこに 故国死なむ (回文詩) (屈原は楚辞の作者。「なんだか意味の通じない一文だなあ、などという回文は、これはもう掃いて捨てるほどあるのです」〈あとがき、土屋耕一『軽い機敏な仔猫何匹いるか』〉。)