春の予感

大野晋

今年の冬はとても寒さが厳しく、野菜の生育などにも影響が出て、市場価格が高騰した。

畑の様子を見てみると、生育が悪かったり、霜にやられたりした様子がわかって仕方がない気分になった。一方で、このところめっきり起きることがなかった諏訪湖の全面結氷は久方ぶりに起きて、御神渡りという湖面にひび割れが生じる現象が見られたりして、暖冬傾向に忘れていた寒さが戻っただけであることを思い出させてくれた。
3月に入ると関東でもいきなりの降雪に驚いたが、ちらほらとほころび始めていた桜に加勢するように、すぐに解けてなくなると、温度がどんどん上昇して春爛漫に気温になってしまった。

そんな中、何回か信州を訪れたが、さすがに4月を待たずに桜が満開になることはなかったが山梨くらいまではそろそろ咲き出しそうなペースで様々なものが開花を始めている。こうした年は先を読むのが難しく、あっさりと早めに夏になることがある一方で、冷夏になってしまうことも珍しくない。そして、その難しい気候判断から山の事故が増えることも考えられるあたりが悩ましいところだ。

まあしかし、とりあえずは来たるべき春を喜ぼうと思っている。