梅雨の晴れ間

大野晋

今年の夏も首都圏は水不足らしいとテレビが言う。どうしても、雨が降ると気持ちがどんよりするけれど、雨が降らないと困ることも多い。最近、気づいたのは、この時期、たくさんのアジサイが見られる場所が増えたということ。しかも、少し前は一般的な赤や青のアジサイが多かったのだけれど、最近はさまざまな種類のアジサイが見られることが多くなった。

かく言うウチにも、渦アジサイという古くからの品種が今年は十数個の花をつけた。うちのは青紫の花をつけている。梅雨の長い雨の中をアジサイの花を見ながら過ごすというのは、春にサクラを愛でる日本人の鬱陶しい季節なりの楽しみ方なのかもしれない。

そう言えば、鎌倉にあるアジサイの参道で有名だったある寺は、今、アジサイがなくなったらしい。参道の改修でアジサイの植栽を動かしたくなったため、今までのアジサイは南三陸のお寺に譲ったとのことだった。

鎌倉のアジサイも東北で人々の心を潤すなら、それはなんともうれしいことだ。