古い音楽

大野晋

このところ、ずっとショルティ、シカゴのベートーヴェン交響曲全集ばかり聴いている。実は年末、2回も第九を聴いてしまったのだが、ひとつは最近はやりの先鋭的なピリオド奏法の演奏会で、しかもモダン楽器で大編成でやられたものだから、ずっと頭がギイギイいっていた。たまに聴くのなら面白いが、あまりにもピリオドに拘り過ぎるのもどうかと思った。だからという訳でもないが、長期にわたって注文入荷待ち状態だった冒頭のCDが届いたものだから、昔の演奏にほっとしている。流行っていても、皆がそればかりになる必要はないだろうに。

最近、著名演奏家の古い演奏を収めたCDが多く発売される傾向だそうだ。これは、ブームというよりも、新しい録音をする予算がないため、著名な演奏家の定番曲を出すことで固定客への販売を期待しようということらしい。しかし、なんとも保守的な面白みのない話だと思う。おかげで、特にオーケストラ曲の録音はやりにくいらしい。

どうやら、経済は全て同じで、投資しないことが全ての閉塞感の原因のように思えるようになった。みなさん、呼び水を打ちましょう。

今年も面白そうなことを探したいと思っております。