長い一年でした、または果てしないコンサート巡りの果て?

大野晋

いやはや、長い一年でした。オーケストラを中心に公演をわたり歩くこと数ヶ月。ようやく今年も終わりそうです。では、後半戦の記録を。。。

8月8日 ミューザ川崎にて
ミューザの夏休み企画であるサマーミューザの公演プログラムのひとつである「パイプオルガンの夕べ〜スイスの夏の日〜」を聴きに仕事帰りに川崎で途中下車。夏の夜長にはパイプオルガンが合うとは言わないけれど、アルペンホルンの調べが心地よい。今日は自由席だったので1階席でまったりとオルガンとアルペンホルンに浸る。

8月9日 ミューザ川崎にて
これもまたサマーミューザ公演のひとつで、日本フィルハーモニー交響楽団のチャイコフスキーの交響曲 第5番 ホ短調 作品64を聴きに川崎に。指揮はコバケンこと小林研一郎。サマーミューザの公演は通常のプログラムの半分の長さで価格も半分。ただし、オーケストラなどの経費は半分になるとは思えないのでその分をホールが負担しているのだと思う。非常に良いホールだけに稼働率が上がることを願いたい。ちなみに、公演前にオルガン下の席にて、階段から転げ落ちる人続出。らせん状に席が配置されたホールだけに目の錯覚などが悪影響しているのか? 公演は熱演。アンコールの’いつもの’ダニーボーイにコバケンと日フィルの特別な関係を感じた。

8月17日 東京オペラシティにて
「読売日響サマーフェスティバル 三大協奏曲」と題された公演を聴きに笹塚まで。三大協奏曲とは「メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲ホ短調 op.64」、「ドヴォルザーク:チェロ協奏曲ロ短調 op.104」、「チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番変ロ短調 op.23」のメンコン、ドヴォコン、チャイコンのことを指すらしい。まあ、有名どころの協奏曲という感じ。会場はいつもと違う人種が多い。指揮は大友直人さんという中堅に、独奏者はメンコンは岡崎慶輔、ドヴォコンは趙静、チャイコンはアリス・沙良・オットという若手の布陣。なかなか若々しい音楽で面白かった。ひとつぶで3つおいしいのだが、ちょっと3曲だと食いすぎの感じ。しかし、オットさん。とてもビジュアル的にも美人!

8月19日 横浜みなとみらいホールにて
今日も読売日本交響楽団で「三大交響曲」。みなとみらいホリデー名曲コンサートの一環だけど、ひとつぶで3度おいしいコンサートの交響曲版。指揮は下野竜也。若手の読売日響の正指揮者。三大交響曲とは「シューベルト:交響曲第7番「未完成」」、「ベートーヴェン:交響曲第5番「運命」」、「ドヴォルザーク:交響曲第9番「新世界から」」の三曲を指すらしい。まあ、演奏回数も多い、人気のある曲ということなのだろう。コンサートは下野さんらしく、安定感のある演奏を聴くことができ満足。しかし、一度に3曲は結構バテる。

8月24日 横浜みなとみらいホールにて
神奈川フィルハーモニー管弦楽団の第237回定期演奏会を聴きに、横浜みなとみらいに行く。指揮は急遽代打が決まったゴロー・ベルク。ヴァイオリンも代打の礒絵里子。しかも、コンサートマスターも代打と代打だらけの布陣。プログラムは、全曲モーツァルトで、「交響曲第25番 ト短調K183」、「ヴァイオリン協奏曲第1番 変ロ長調K207」、「交響曲第38番 ニ長調K504「プラハ」」の3曲。代打ばかりの割には、代わりの人員がしっかりしているせいか、非常にきちんとしたモーツアルトが聴けた。チケットを取ったのが、メンバー変更後だったので、私に何の不満もあるはずがない。 あ。会場の観客が少なかったのが唯一の不満だ。

8月30日 横浜みなとみらいホールにて
またまた、今月3回目のみなとみらいホール。今日は無料コンサートで、出光音楽賞の受賞記念のガラコンサート。ぎりぎりにホールに着いたところ、チケットを裏にされて、どちらか選ばされたら2階中央付近の比較的よい席。かつ、隣がいないので、悠々と聴けることに。通路を挟んだ隣は出光関係者の席だった模様。今年の受賞者はピアノの菊池洋子と小菅優に、フルートの小山裕幾。特にピアノの2名は最近活躍しているだけに、今さらの感もあるが、このままだと受賞しないまま旅立ってしまいそうだから、「今までご苦労様」の意味もあるのか? 授賞式に続いたコンサートは東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団で、指揮は下野竜也。なかなかに聴き応えのある演奏でした。この模様は、後日、日曜日の「題名のない音楽界21」で放送された。 

9月6日 サントリーホールにて
今日は外は台風の嵐。関東は直撃を受けるらしく徐々に風雨が強くなる。果たして、うちに帰れるのか?という中、ロリン・マゼール指揮トスカニーニ交響楽団の日本公演を聴きにサントリーホールまで。プログラムは、R.コルサコフの「シェエラザードOp.35」、ヴェルディ「運命の力」、ルーセル「バレエ『バッカスとアリアーヌ』第2組曲 Op.43」、R.シュトラウス「歌劇『サロメ』より 最後の場面(ソプラノ:ナンシー・グスタフソン)」という内容。いきなり、きらびやかなシェエラザードで幕開け、ヴェルディで乗せられて、字幕付のサロメでマゼール一流の聴かせ技に一本を取られる。なかなか外来のオーケストラ公演で高いチケット代を満足させる演奏にあうことは少ないが大満足でコンサート終了。幸せな気分でホールから出ようとしたら、外は嵐の最中だった!(しばし呆然!)「ひえーっ」となるべく早くに電車を乗り継ごうといつもとは違う経路で帰宅。後で、それが当時動いていた唯一の交通路だったのを知り、ほっと胸をなでおろした。

9月7日 サントリーホールにて
昨日の嵐が嘘だったような天気。夕方から、’また’サントリーホルへ。チョン・ミョンフン指揮の東京フィルハーモニー交響楽団の公演。曲目は、ブラームス「ハイドンの主題による変奏曲」、コダーイ「ガランタ舞曲」、ドヴォルザーク「交響曲第7番」という渋い内容。個人的にはドヴォルザークの7番を聴きたくて言ったような感じ。なんとなく、可もなく不可もなく、中庸といった感じ。うーん、指揮者はビックネームなんだが、なぜか自分には響かない。相性の問題?

9月13日 サントリーホールにて
今日は新日本フィルのサントリーホールシリーズ第419回定期演奏会を聴きにサントリーホールへ。今年前半の工事中できなかった公演を取り戻すかのようになぜかサントリーホールの公演が多いと思うこのごろ。指揮は、かのクリスティアン・アルミンク。実は今回が始めてのご対面。曲目はマーラー「交響曲 第7番 ホ短調『夜の歌』」と、実は12月のインバル「夜の歌」の予習をかねていたりする。今年はなぜか、「夜の歌」が多く、インバルの前にあと1回開催される。 コンサートはなぜか絶不調。オーケストラがバラバラに聴こえるのがとても心地悪い。何が言いたいのか、よくわからない演奏だった。滅多にないが、金返せ!と心の中で叫んだ。

9月14日 東京文化会館にて
今日は東京都交響楽団の第648回定期演奏会を聴きに上野へ行く。指揮は来年からレジデント・コンダクター就任が決まっている小泉和裕。ピアノはゲルハルト・オピッツ。曲目はブラームスのピアノ協奏曲 第1番 ニ短調 op.15に、ストラヴィンスキーのバレエ音楽「春の祭典」の2曲。まず、オピッツ氏の演奏に満場の大拍手。この人、ピアノ曲でも協奏曲でもとても素敵な演奏をする。次に後半は「春の祭典」。たぶん、こんな音がするだろうなあ、という凄い弦の響きのハルサイで大満足。ストラヴィンスキーはクラシック界のロックだという人がいたが、今日はほんとうにロックの感じがした。

9月18日 サントリーホールにて
読売日本交響楽団の第463回定期演奏会を聴きに赤坂に。実は、スタニスラフ・スクロヴァチェフスキ氏の指揮のブルックナーを生で聴きたくて取ったチケット。なのでプログラムはモーツァルト「ドン・ジョヴァンニ序曲」、ルトスワフスキ「交響曲第4番」、ブルックナー「交響曲第3番(ノヴァーク版)」と全体的にブルックナーを中心に据えた感じ。読売日響はまず外れがないしっかりした演奏をする印象を持っていたが、今回も外れなし。スクロヴァチェフスキ氏と丁々発止とやっていた。コンサートの最後はなかなかカーテンコールを止めない会場と引っ込まないオケに、スクロヴァチェフスキ氏がコンマスを拉致してしまってお開きになりました。ああいうやり取りもなかなか面白い。

9月21日 横浜みなとみらいホールにて
今日は神奈川フィルハーモニー管弦楽団の第238回定期演奏会。最初はなぜチケットがあるのか、自分でも理解できなかったが、どうやらラフマニノフのコンチェルトがあるからだったらしいと一人で合点。指揮は現田茂夫、ピアノ有森博という布陣。コンマスの金髪の石田さんもご出席。曲はラフマニノフ「ピアノ協奏曲第3番 ニ短調op.30」、コワルスキ「交響曲第4番 ハ長調op.96(日本初演)」の2曲。演奏はなかなかのでき。ただし、ザーマスおばさんが多く、全体に聴衆が入っていないのが不満。もっと、市民、県民にサポートをして欲しいもの。

9月22日 横浜みなとみらいホールにて
2日連続でみなとみらいに行く。今日は坂戸真美演奏のオルガン・リサイタル。オルガンだけのリサイタルは1階を封鎖して、2階席以上に客を入れて行うらしい。観客のいない1階席を2階席から眺めるのはなかなかに壮観な眺め。演奏が始まるとその意味がわかった。1階席の床も含めて残響が広がりさながらホール全体がオルガンの共鳴室になった感じ。というか、いつも共鳴室の中で音楽を聴いているというのがホントらしい。ルーシーちゃん、凄い!(ルーシーはみなとみらいホールのオルガンの愛称です。)

9月26日 紀尾井ホールにて
地方オーケストラへの興味で、本日は京都フィルハーモニー室内合奏団を聴きに紀尾井ホールへ行く。京フィルは日本オーケストラ連盟の準会員。前半の武満も面白かったし、ジュリアン・ユー版の「展覧会の絵」も楽しいものを聞かせてもらったが、やはりメインは文楽とオーケストラ、声楽が一体となった丸山和範作曲の「曾根崎心中」。こういうのもいいですね。

9月27日 浜離宮朝日ホールにて
前日の京フィル繋がりで、「平岡養一生誕100年を記念して」と題された通崎睦美リサイタルを聴きに築地に。その実、思いがけなくマリンバを堪能してしまう。そういえば、昔はマリンバの演奏がテレビで結構流れて痛んだよなあと変なノスタルジーにふける。

10月2日 東京オペラシティにて
今日から3日間はアジア オーケストラ ウィーク2007として、韓国、中国、インド・スリランカのオーケストラの公演が開催される。本日は第一弾として、韓国のKBS交響楽団の公演。曲目は、チェ・ソンファン「アリラン」、ショパン「ピアノ協奏曲第1番ホ短調op.11」、ショスタコーヴィチ「交響曲第11番ト短調op.103「1905年」」というなかなか意欲的な内容。さすがに国営放送局のオーケストラらしくそつのない演奏。しかし、ショパンのソロを弾いたキム・ソヌクはなかなかの逸材。ぜひ、こういう逸材に日本のオーケストラの定期演奏会にも客演してもらって、欧米一辺倒のクラシックファンにアジアにも眼を向けてもらいたいものだ。

10月3日 東京オペラシティにて
アジア オーケストラ ウィーク2007の2日目。中国は昆明交響楽団。曲目はリュー・ツェシャン「ヤオ族舞曲」、とう・そうあん作・編曲:交響詩「女将軍ムー」(日本初演)、ドヴォルザーク「交響曲第8番ト長調op.88」の3曲。ドヴォルザークは非常に大雑把な演奏。というか、たぶん、オーケストラのレベルがそのくらいまでしか要求できないのだろうと思われる熱演だけど、どことなくアマチュアオーケストラを思い起こすレベル。対するお国モノはとても雰囲気のある熱演。おそらく、あまり西洋のクラシックを演奏する機会が少ないのだろうと変な部分で納得した。なかなか振りそうな指揮者だったので、ぜひ、日本のオケで自由に表現させると思いっきり化けそうな気がした。

10月4日 東京オペラシティにて
アジア オーケストラ ウィーク2007の3日目。一番の鬼門であるインド=スリランカ交響楽団の回。曲目はたぶんブラームス「大学祝典序曲op.80」、ハルシャ・マカランダ「ピアノとガタベラのための協奏曲」、ブリテン「シンプル・シンフォニー」、チャイコフスキー「幻想的序曲「ロメオとジュリエット」」の4曲。この間までプロのオーケストラがなかったお国柄。なので、この3日間で一番怪しいレベル。とりあえず、日本人が各パートの主席レベルに入って持っているが、いないととんでもないことが起きそうな雰囲気。しかし、こういう機会がアジアの中でのオーケストラ文化を育てるのだろうし、文化の広がりに寄与して、その発信地になることはこれからの日本にとって一番大切なんだろうなあ、と変に納得した。 全体としてはとっても面白い3日間でした。

10月8日 横浜みなとみらいホールにて
読売日響のみなとみらいホリデー名曲コンサートを聴きにみなとみらいまで行く。指揮は、ゲンナジー・ロジェストヴェンスキー、奥さんのヴィクトリア・ポストニコーワがピアノを弾く。オルガンは水野均さん。本日は、オール・サン=サーンス プログラム。「ピアノ協奏曲第3番」、「交響曲第3番(オルガン付)」、「付随音楽「誓い」」の3曲。コンチェルトはあまり聴く機会は少ないがとても雰囲気十分な演奏。そして、オルガン付はもうこれ以上ないくらいの音量でオルガンを鳴らせてくれて、お腹いっぱいになりました。オルガンはいいなあ。

10月10日 東京オペラシティにて
凱旋公演と題された怪しいコンサートを聴きに初台まで行く。上岡敏之指揮・ピアノのドイツ中堅オーケストラのヴッパータール交響楽団の来日公演。曲目はR.シュトラウス「交響詩《ドン・ファン》」、モーツァルト「ピアノ協奏曲第21番 ハ長調 K.467」、ベートーヴェン「交響曲第5番 ハ短調 op.67《運命》」の3曲。ヴッパータール交響楽団はドイツの中堅オーケストラ。こういったスーパーオーケストラじゃない普通のオーケストラが来ると、日本のプロオケもヨーロッパのオケとそれほど遜色ないじゃん!という感じ。しかし、凱旋公演と題されるだけあって、上岡敏之氏はなかなかの熱演でありました。どのくらいの熱演だったかはネットの記事を参照してもらうとして、オケと指揮者の関係でこういうのもありか?と思ったのでした。(次の日もあるが)

10月11日 東京オペラシティにて
上岡敏之指揮・ピアノのヴッパータール交響楽団の2日目。演目は、モーツァルト「歌劇《ドン・ジョヴァンニ》序曲」、モーツァルト「ピアノ協奏曲第23番 イ長調 K.488」、チャイコフスキー「交響曲第6番 ロ短調 op.74《悲愴》」の3曲。感想は前日と同じ。観衆の熱狂は前回以上ということで。ところで、このプログラム。1曲目はどちらもドン・ファン(イタリアだとドン・ジョヴァンニ)、2曲目はモーツアルトの弾き振り。3曲目に大き目の曲を持ってくるという面白い趣向だったりするのですが、皆さん、気付いたかな?(複数回来ないとわからないかも?)

10月12日 紀尾井ホールにて
紀尾井シンフォニエッタ東京の定期演奏会を聞きに四谷まで行く。指揮とチェロはマリオ・ブルネロ。曲目は武満 徹「三つの映画音楽」、ロータ「チェロ協奏曲 第2番」の映画つながりに、ベートーヴェン「交響曲 第6番 ヘ長調 op.68「田園」」という3曲。紀尾井シンフォニエッタはなかなかチケットが手に入らないので今年はこれが最初で最後。演奏は熱狂はないが、感心はたくさんといった感じ。

10月14日 サントリーホールにて
来年度から日フィルの主席になるラザレフのショスタコーヴィチが聴きたくて、日本フィルハーモニー交響楽団 第317回名曲コンサートを聴きに赤坂まで行く。指揮はアレクサンドル・ラザレフ。ピアノ独奏が小山実稚恵。曲は、チャイコフスキー「バレエ組曲《眠りの森の美女》」、「ピアノ協奏曲第3番」、ショスタコーヴィチ「交響曲第5番《革命》」というロシアものが3曲。日フィルはラザレフが振ると音が変わったようになる不思議。ぜひ、この音色を自分たちのものにすることができれば、面白いオーケストラになると思う。

10月18日 東京オペラシティにて
プレオニョフを見に初台まで行く。東京フィルハーモニー交響楽団の東京オペラシティ定期シリーズ第33回。指揮はミハイル・プレトニョフ、ピアノはアレクサンドル・メルニコフ。曲は、プロコフィエフ「ピアノ協奏曲第2番ト短調op.16」、ベートーヴェン「交響曲第6番ヘ長調op.68「田園」」の2曲。物凄い爆演やお得感のあるテンコモリ演奏会を聞くと、どうもこのプログラムは物足りない。来年は定期会員を止めようと心に誓う。

10月19日 東京芸術劇場にて
地方オケを聴きたくて、群馬交響楽団の東京公演を聴きに池袋まで行く。指揮は音楽監督の高関健、クラリネットはカール・ライスターという演奏者。どうやら定期演奏会と同じ曲目、同じ演奏者らしい。曲は、ハイドン「交響曲 第90番 ハ長調」、西村朗「クラリネット協奏曲「カヴィラ(天界の鳥)」」、バルトーク「管弦楽のための協奏曲」の3曲。群響はまじめなよい音を出すオーケストラ。かつ、楽屋があけっぴろげなので、舞台の袖から奥が見えている。そういう面で、在京のオケと比べると慣れていない感じがする。演奏自体は実に立派だった。

10月20日 神奈川県立音楽堂にて
横浜は桜木町の神奈川県立音楽堂で、「井上道義の「上り坂コンサートVol.7」」と題されたコンサートへ行く。オケは神奈川フィル、指揮は井上道義。この人はプロのしゃべり屋か?!と思えるような井上さんの軽妙なトークを交えながら、これからの躍進が期待される若手演奏家の演奏が繰り広げられる。出演は、トランペットの菊本和昭、ジャズ・サックスホーンの矢野沙織(ちょっとセクシーなCDのジャケットやアジエンスのCMでも有名だが、このコンサートの直前にロングヘアーをばっさり切ってしまった!)、バンドネオンの高校生三浦一馬の三人。とても面白いコンサートでした。また、来年も来ようっと! ちなみに、バンドネオンと言うのは簡単に言うとアコーディオンの親戚で、今や新しく作る工房がないためにストラディバリウス並に貴重品のアルゼンチンの楽器です。タンゴの演奏で有名ですね。あ。ついでに、神奈川県立音楽堂で売っているシュークリームはとてもおいしい!

10月22日 東京文化会館にて
本日は、東京都交響楽団 第650回定期演奏会で上野へ行く。オール・リヒャルト・シュトラウス・プログラム。指揮は若手の若様、金聖響。独奏としてビオラは都響の鈴木学とチェロのアルト・ノラス。R・シュトラウス「歌劇「サロメ」より 7つのヴェールの踊り op.54」、「メタモルフォーゼン TrV290」、「交響詩「ドン・キホーテ」 op.35」の3曲だったが、非常に明快に解きほぐされた演奏でよかった。全部R・シュトラウスはなかなかに疲れました。あとで指揮者の金聖響さんのブログを見たら、ご本人も大変だった様子。ご苦労様でした。

10月23日 サントリーホールにて
ドヴォルザークを聴きたいだけのためにスロヴァキア・フィルの来日公演に赤坂に出撃。今回は特定の指揮者と来たわけではないらしく、今回はチェコの若手指揮者レオシュ・スワロフスキーの指揮、後半は日本人指揮者が指揮をするようだ。ちなみにスワロフスキーは前回、都響に来た時に聴きに行っている。チェロコンチェルトのチェロは若手のマーク・シューマン。しかし、なかなかの使い手。曲目もスメタナの連作交響詩「わが祖国」から「交響詩「モルダウ」」、ドヴォルザーク「チェロ協奏曲 ロ短調 Op.104」、「交響曲第9番「新世界より」 op.95」と非常にベタなメニューとなっている。演奏は期待したとおり、チェコ・スロバキアの伝統のゆったりした感じで進んでいく、危険性の少ない演奏。ノイマンでスメタナ、ドヴォルザークに親しんだ身にとっては願ってもない子守唄のような演奏会だった。

10月26日 サントリーホールにて
日本フィルハーモニー交響楽団の今年の大物である「アレクサンドル・ネフスキー」を聴きに赤坂へ行く。指揮はアレクサンドル・ラザレフ。期待十分。合唱が東京音楽大学の学生だった関係か、オケ裏の席をびっしりに合唱隊が占拠した見た目にも壮観な布陣。前半は、リャードフ「交響的絵画「ヨハネの黙示録から」挽歌」とグラズノフ「ヴァイオリン協奏曲」と馴染みは薄いけれどもなかなかに聴きやすい演目。後半に、プロコフィエフ:カンタータ 「アレクサンドル・ネフスキー」が演奏された。最初の部分の弦楽器のとんでもない音から始まり、なかなかにドラマチックな演奏だったように思う。実は、今年は都響も同じくアレクサンドル・ネフスキーの演奏会を行うので、聴き比べが楽しみ。

11月30日 サントリーホールにて
今日は東京都交響楽団の定期演奏会でまたもや赤坂へ行く。指揮はゲルハルト・ボッセ。芸大で教えていたこともあるらしい。トランペットは高橋敦。曲目はオールハイドンで、「交響曲第85番変ロ長調『王妃』 Hob.I.85」、「トランペット協奏曲変ホ長調 Hob.VIIe.1」、「交響曲第101番ニ長調「時計」 Hob.I.101」の3曲。流行のピリオド奏法っぽくもない正統派のハイドンをどっしりと聴いた。

11月2日 横浜みなとみらいホールにて
野中貿易(株)の設立55周年記念コンサートということで、松沼俊彦指揮のシエナ・ウインド・オーケストラを聴きに、みなとみらいへ行く。シエナは日本の数少ないプロのウィンドオーケストラということで聴きたかった楽団だけど、いままでなかなか機会がなかった。野中貿易は横浜で楽器の輸入をやっている楽器屋さん。別に、国際展示場を使って、楽器フェアの最中なのでそれに関連した催しなのだと思うが、ホール2階のロビーいっぱいに楽器が並び、さながら臨時の楽器売り場の様相となっていた。コンサートの方はテレビでおなじみの青島広志さんも登場し、実に楽しいものでした。野中貿易さんに感謝感謝!

11月8日 東京オペラシティにて
東京フィルハーモニー交響楽団の東京オペラシティ定期シリーズ第34回を聴きに初台まで行く。今日のメインはフォーレのレクイエムだと思うが、どうも指揮者のチョン・ミョンフンとは相性が悪い。まあ、最初のR.シュトラウス「交響詩「ドン・ファン」op.20」にしろ、上岡のとんでもない演奏を聴いた後だからなぜか香辛料が足りない気がするのかもしれない。「辛さが足りないよう!」と思っていたら、ブルッフ「ヴァイオリン協奏曲第1番ト短調op.26」もフォーレ「レクイエム」も終わってお開きになっていた。

11月13日 東京芸術劇場にて
札幌交響楽団の東京公演を聴きに池袋まで行く。指揮は尾高忠明。絶対にいい指揮者だと思うが、なかなか、在京のオケで聴く機会が少ないのが残念。ドビュッシー「牧神の午後への前奏曲」、「ラプソディ」、武満徹「ファンタズマ・カントス」、「遠い呼び声の彼方へ」、ドビュッシー「交響詩「海」」ともにいい演奏でした。帰りに、出口でお砂糖(ビートから作ったもの)をもらう。ちょっとだけ得した気分。

11月16日 東京オペラシティにて
東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団 第213回定期演奏会で初台へ。飯守泰次郎指揮の東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団で、マーラー「交響曲第7番 ホ短調《夜の歌》」聴き比べシリーズ! アルミンクよりはよかったが、まだ、自分の中で曲が混沌としている。うむむ。夜の歌は難しい。(でも、昔聞いたマズア=ライプツィヒ・ゲヴァントハウスのレコードはもっと分かりやすかったような。。。)

11月18日 サントリーホールにて
東京都交響楽団のプロムナードコンサート。毎回聞きにくる機会があるのもあと数回のジェイムズ・デプリーストの指揮で、チャイコフスキー「幻想的序曲『ロメオとジュリエット』」、「ロココ風の主題による変奏曲イ長調op.33 」、ラフマニノフ「交響的舞曲op.45」のロシアもの3つ。毎回、明確な音楽表現をするので、デプリースト好きです。残り少ないコンサート機会を大切にしましょう。

11月23日 東京芸術劇場にて
今日は東京都交響楽団、デプリーストのワグナーづくし。楽劇『トリスタンとイゾルデ』より「前奏曲と愛の死」、女声のための5つの詩『ヴェーゼンドンク歌曲集』、楽劇『神々の黄昏』より「夜明けとジークフリートのラインの旅」、「ジークフリートの死と葬送音楽」、「ブリュンヒルデの自己犠牲と終曲」に聞きほれる。デプさん、常任指揮者を辞めてもときどきは振りに来て欲しい指揮者です。

11月25日 横浜みなとみらいホールにて
チェコ・フィルハーモニー管弦楽団と直前に常任指揮者からの降板を発表したズデネク・マカル指揮をみなとみらいで聞く。演目はスメタナ「交響詩「わが祖国」より”モルダウ”」、ドヴォルザーク「交響曲第8番 ト長調Op.88」というベタな曲。手馴れた演奏で、危なげなく聞けました。

11月29日 サントリーホールにて
今日は東京都交響楽団とデプリーストの今期の大作「アレクサンドル・ネフスキー」の公演。第653回定期演奏会 Bシリーズで聴きに行く。指揮はおなじみジェイムズ・デプリースト、メゾソプラノが竹本節子、合唱は二期会合唱団の布陣。日フィルと違い、合唱の陣容は小さめだが、音量はきちんと出ていた。前半はスクリャービン「夢想op.24」とモーツァルト「交響曲第38番ニ長調『プラハ』K.504」、後半にプロコフィエフ「カンタータ『アレクサンドル・ネフスキー』op.78」。ラザレフとは異なり、ドラマティックというよりも、きちんと整理されたコンサートバージョンと言った感じで聞くことができた。どちらも勝ちだな。

11月30日 横浜みなとみらいホールにて
今年何度か目のオルガンを聴きにみなとみらい、神奈川フィルハーモニー管弦楽団の第240回定期演奏会に行く。今日の指揮者はN響のときと同じ広上淳一。前半にベートーヴェン「ピアノ、ヴァイオリンとチェロのための三重協奏曲」があった後、後半でサン=サーンス「交響曲第3番「オルガン付」」。オルガンの音量は前回と同じく控えめということで、少しフラストレーションが残る。残念。

12月1日 鎌倉芸術館にて
今日だけの大阪フィルハーモニー交響楽団の鎌倉公演。実は鎌倉芸術館に来るのは私は今回が初めて。コンサート前に旧松竹撮影所前の日本料理屋さんで地魚のどんぶりを頂き大満足で芸術館に。指揮は大植英次さん。以前、大阪の公演で体調を崩したと聞いたが、今回は大丈夫な様子。曲目は、ベートーヴェンの「交響曲第8番 ヘ長調 作品93」と「交響曲第7番 イ長調 作品92」という大きな番号の交響曲。近年ない、ゆったりしたテンポの進行で、こういうのもありかな?と改めて見直した。観客が少なかったのだけが唯一の不満! 鎌倉には文化人がいるんじゃないのか!

12月7日 サントリーホールにて
日本フィルハーモニー交響楽団の第596回東京定期演奏会を聴きに赤坂まで。アークヒルズ3階にあるラーメン屋の餃子定食が最近のお気に入り。餃子2枚にご飯とワンタンスープが付いてくる。クラシック前に餃子か?と言う感じだが、腹が空いては戦は出来ない。空腹にティンパニーの音響は応えるのだ。今日はワグナー振りで有名な飯守泰次郎のオールワグナープログラム。曲は、歌劇《タンホイザー》より「序曲」、楽劇《トリスタンとイゾルデ》より「前奏曲と愛の死」、楽劇《ワルキューレ》より「ワルキューレの騎行」、「魔の炎の音楽」、楽劇《神々の黄昏》より「夜明けとジークフリートのラインの旅」、「ジークフリートの葬送行進曲」、「ブリュンヒルデの自己犠牲と終曲」という内容。直前にデプリースト=都響で聴いたのが運が悪かったというか、ちと、弦の響きが足りない感じ。でも及第点でしょう。ところで、緑川まりさん、写真より随分と大きくなられたようで。

12月13日 東京オペラシティにて
きょうは東京フィルハーモニー交響楽団の東京オペラシティ定期シリーズ第35回で初台に行く。たぶん、来年は東フィルはほとんど来ないような気がする。まあ、音の響きの悪いオペラシティで1階の後ろの方の席ではあまり音が聞こえてこないと言う言い訳もできるが、上岡やヤルヴィの演奏会ではびしびしと後ろにも伝わってきたので場所のせいばかりではないだろう。きょうは若杉弘指揮で、シューベルト「交響曲第8番ロ短調D.759「未完成」」、ブルックナー「交響曲第9番ニ短調(ノヴァーク版)」。終わりよければ全てよし。今年最後に満足できる演奏でした。

12月14日 東京文化会館にて
きょうは東京都交響楽団の第654回定期演奏会 Aシリーズ。上野の森は燃えていた! 指揮はエリアフ・インバル。曲はマーラー「交響曲 第7番 ホ短調「夜の歌」」ということで、1年以上前から期待されていたコンサート。日本のオーケストラなのに、チケット争奪戦は凄まじかった模様。私はメイト会員なので昨年からの継続で、比較的楽にゲット。ただし、満席のため、3階のサイドの席といつもより上からの鑑賞でした。結果は、これだったのだよ、これ。という待ちかねた演奏。マーラーの専門家の面目躍如と言った感じでした。

12月19日 サントリーホールにて
東京都交響楽団の第655回定期演奏会 Bシリーズ。場所を赤坂に変えて、インバルのマーラーシリーズの第2弾。曲はマーラー「交響曲第6番イ短調『悲劇的』」です。今日もサントリーホールは満席。ネットオークションでチケットが飛び交ったといういわく付のコンサートとなりました。結論。インバルのマーラーは明快でいいですね。

12月25日 サントリーホールにて
読売日本交響楽団の第497回名曲シリーズとして年末の第9を聴きに赤坂に行く。予定を入れてみて気付いたが、きょうはクリスマス。気がつかないところがなさけないというか、なんというか。まあ、いいことにして赤坂へ。いつもの餃子定食を食べて、いざ、サントリーホール。きょうの指揮は下野竜也。若手だが実に明快な指揮をするので好きな指揮者。独唱はソプラノ:林正子、メゾ・ソプラノ:坂本朱、テノール:中鉢聡、バリトン:宮本益光と実に若手でかつビジュアルな方々。若いだけに実によく声が出ていました。合唱は新国立劇場合唱団。プロだけに少人数でも十分な音量があったのはさすが。ベートーヴェンの交響曲第9番〈合唱付き〉だけでしたが、けっこう楽しめました。

12月26日 サントリーホールにて
東京都交響楽団の都響スペシャルと題するベートーヴェンの第9交響曲の演奏会を聴きに赤坂に行く。指揮はエリアフ・インバル。今年最後のコンサートです。都響の第九のシリーズも最終回だけに前の回の感想が多くネットに上がっています。その好評を見るにつけ、期待の高まる公演。独唱は昨日の若手とは対照的に、ソプラノ:澤畑恵美、メゾソプラノ:竹本節子、テノール:福井敬、バリトン:福島明也と中堅で揃えてきました。合唱はアレクサンドル・ネフスキーでもその片鱗を見せた二期会合唱団。まず、コンサートはベートーヴェンの「序曲「レオノーレ」第3番 op.72b」から始まりました。小手調べにしては上々の出来。この後、第九を本当に弾くのか、心配になるような上出来の演奏でした。そして、休憩を入れずに合唱団を迎え入れ、交響曲第9番ニ短調「合唱付」op.125の演奏が始まりです。で、結果として、読売日響、都響の順に聴いたのですが、その選択は正解だったように思います。マーラー指揮者として名高いインバルは、実は歌劇場の音楽監督に在任中ですが、その実力を見せ付けられたような、合唱、独唱をもひとつの音楽として取り込んでしまった第九に、他の合唱曲の演奏と同じものを見た気がしました。ぜひ、レクイエムやオラトリオもインバルの指揮で聴いてみたいし、オペラすら見てみたいと思うすごい演奏でした。イタリアオペラがとても似合いそうです。

さてさて、手帳に書かれた演奏会を数えると全部で、なんと74公演! いやはや、疲れるわけです。来年は今年の3分の1くらいまでに押さえようと心に誓った私でした。(でも、読売日響の定期会員で11公演。都響のメイト会員で14公演。足すとそれだけで25公演と。。。減る見込みは薄いかもしれない)