オトメンと指を差されて(13)

大久保ゆう

それは春のこと。どこの大学でも健康診断が行われます。私の大学でもありました。といってもごくごく簡単なものなのですが、やっぱり身長体重も測定されるわけです。

「××kgです」
……耳の錯覚でしょうか、今年の体重測定では、私が今まで聞いたことのない数字が告げられています。いやいやいや、これは何かの間違いです。落ち着いて検査表に書かれた数字を見てみるのです。

「!」

(翻訳:え? あれ? ちょちょちょ、ちょっと待った。これっておかしくない? ええと、私がこの身長になっていちばん痩せていたときの体重が△△kgだから、ああああ、それと20kgくらい差があるんだけど、あるんですけどおおお!)

これは、見なかったことに……はできないので、ひとしきり落ち込みましょう。そして考えましょう。どうしてこうなったのかを。

(……そういえば、去年は翻訳に専念して屋内に引きこもりっきりだったなあ……それで自転車をほとんど漕げなかったなあ……しかも外に出かけたらいつもスイーツを食べていたなあ……何かおかしいと思っていたんだよ、こないだ春物を出してみたら、タイトなジーンズが入らなくてさ、てか特にウエストがさ、昔っからその細さを人に自慢してたくらいのウエストがさ……)

云々。危機です。ゆゆしき事態です。ありえません、こんなのありえません!(大事なことなので二回言いました。)太りました。しかもこの体重は私が生きてきた二十数年のあいだでもっとも大きい数字です……最初の一桁が見たことのない数字になっています……うわああああああああ! あああ! ぐにゃあ! にゃあにゃあ! いあいあ!

……取り乱して申し訳ありません。ええと、こんなわけであまりにも落ち込んだため、たぶん大学入試に落ちたときよりも凹んだため、自分を強制的なダイエットモードへ追い込むことに致しました。……というお話です、今回は。

まあ、原因は簡単です。

  1.食べ過ぎている
  2.運動をしていない

以上。

1の「食べ過ぎている」件については、別にお菓子が悪いわけじゃなくて、スイーツが悪いわけじゃなくて(大事なことなので二回言いました)、おそらく料理が楽しすぎて作り過ぎちゃうことが問題なのですよね。昼も夜もどーんとボリュームたっぷりに。レコーディングダイエットじゃないですけど、考えてみると、たいして活動をしないにもかかわらず夜のボリュームが多すぎるんです。(ちなみに朝は元々あんまり食べられない人なので、食べやすく加工した炭水化物で済ませます。)

2については、いや、運動できなかったのは色々とプライヴェートにまつわる理由もあったのですが、言われてみれば確かなんですよね。私の仕事場は山の中腹にあるので、普通なら自転車で降りてのぼるだけでかなりの運動になります。ふともものサイズがきれいに保てるくらいには。なのに漕がなかった……約一年の間あんまり漕がなかったんです。

私も大人になりました。もう普段の生活をしていたら自動的に健康と美容と体型が維持される時代は終わったのです! ここは、オトメンとして腹をくくって、たゆまぬ努力を積まなければならないのでしょう!

というわけで、ダイエットなどはしたことがないのですが今回これを始めました。どっちかというと「冷やし中華始めました」的なノリで、初夏に始まって秋には満足な結果を残して終わるくらいな一シーズンで片づくような感じにはしてみたく候。

ですが、私は世の人々が嵌ってきたダイエットにありがちなミスには陥りません! シンプルイズベスト、対策は簡単です。

  1.食べ過ぎない
  2.運動をする

どうですか! 完璧でしょう! 真っ正面から殴り込みですよ! オトメンは逃げないこと、これ大事!

まずは栄養に気を遣いつつも、食べ過ぎの夜を何とかして、量としては朝と同程度、もしくは間食が入ったときなんかはまあ抜いてしまったりするのです。そんでもって図書館へ行くときも自動車とかバスを使わず、往復10kmほどの距離を自転車で。冬は寒くて正直やってられないけど、今の季節なら大丈夫のはず! むしろ夏に入って汗だくだく! 京都を動き回るときもバスじゃなくてどこでも自転車! 駐車場少ないけど何とか探して自転車!(でもスイーツは食べるよ! むしろスイーツ食べに行くまでが運動だから! 遠くの店へ、より遠くの店へ!)

そうは言ってもすぐ終わるだろうというおおよその予想を裏切って続いているわけですが、ただいま1ヶ月経過時点では、3kg減少。目標は夏の終わりまでに10kg減らすことです。いや、いちばん痩せていたときはさすがにやばかったという自覚はありますので。

進捗状況についてはときどきこの場を借りてご報告致します。「オトメン27歳はじめてのダイエット」、はじまりはじまり。