最初は3回のつもりだったのがびっくり続くことになりましたので再度みなさまにご挨拶申し上げます大久保ゆうですこんにちはいえいえどうもありがとうございますといいますかこんな恥ずかしい文章をみなさまにさらしてもいいのでしょうかうんいいことにしておきましょうええそうですねみなさまもあまり気にしないでいただけるとありがたいです。
さて、今後のことも考えてあえて仕切り直しまして、再度オトメンのことについてしゃべってみたいと思います。第一回でも述べたように、たとえばオトメンは始終なよなよとしているような人のことを言うのではなく、むしろ普段はきりっとずばっとさくっと仕事(もしくはスポーツでも)をしてしまうような男の人で、でもなぜか普段の生活はとてもとても女の子の趣味に近いことをやっているという感じです。そこのところを間違えると大変なのであらためて強く強く主張しておきたいと思います。つまり表と裏があるわけですね。
自分を例に出して恐縮なのですがたとえば私の文章で言うと、仕事で出しているような翻訳や私のホームページに置いてあるような評論文、あるいは様々なところでする講演とか寄稿文だとかが表になります。何というか非常に真面目で落ち着いていて、私個人のことを知らない人はたいてい私のことを「女性」だと、あるいは「ある程度お年を召してどこか風格のある女性」を想像されるそうです。一方で面識のある人からはクールでクレバーな熱血漢と言われたこともあります。物腰柔らかで笑顔だけど心の奥底では何考えてるかわからないという評価もあります。「ふもっふ」と呼ばれたこともあります。少女マンガのお兄さんキャラがそのまま出てきたみたいな、というのもあったような。一定してませんが、いわゆるそういうものが表面になります。
そして裏面はこれです。
はい。ものすごく。違います。テンションが。全然。人によっては幻滅する人もいるんじゃないかと思うくらいです。わかりますわかりますそういう経験は幾度となくあります。書けば書くほどマイナスなんじゃなかろうかと悩むこともありますが基本的に悩みはくしゃみをするように一瞬で終わるようなタイプなので問題ありませんよ。
で、前回の終わりと繋げると、その表裏がひとつオトメンが恋愛対象になりにくい原因にもなってきます。オトメンの表面は、いろんな人を見る限り、「凛として」いたり、「颯爽として」いたり、「昼行灯だけどやるときゃやる感じ」だったり、そういうのが多いと思うのですが、確かに誰かに好かれることが多いかもしれません。しかしそれはやはりひとつの「憧れ」であって、あるいは「高嶺の花」であるのです。何というか遠くから恋慕されるというのでしょうか。そういう話が多い気がします。
……
そうすると積極的にアプローチはされないのでなかなか恋愛関係には至りません。たまたまこちらからアプローチしたとしても、基本的には表面に憧れて格好いいと思われ惚れられているので、裏面を知ったときの落差にがっかりするそうです。遠くから見ていた方がずっと格好いい姿をながめていられたのに、というわけですね。そんなこと言われても知りませんよまったく。……あるいは窮地に陥ったので憧れのあの人に助けてもらおうすごい格好いいありがとうでもいい想い出としてだけ胸の中に仕舞っておきますさようなら、みたいな。……ええ。ちなみに私の実体験とは何の関係もないので邪推しないでくださいね。
…………
じゃあ裏面はどうなのかというと、裏面で仲良くしている人は前回述べたように気安い友だちになるわけなので、そこから恋愛関係になって発展のしようがありません。結局どっちにしても難しい。誰にでも二面性はあるといっても、その差が激しすぎるということなんでしょうかね。好いたり好かれたりの関係よりも、オトメンには同じようなタイプのよき相棒の方がうまくやっていけるのかもしれません。
………………やれやれ。
あ、そうか。ため息も多いかもしれませんね、オトメンは。だからといって村上春樹的なものをオトメンだとか言い始めるととてつもなくややこしいというかそれはほぼ間違っているのが確実なので何ともいいませんが、逆にレイモンド・チャンドラー的なものはオトメンに近いかもしれないというか表面は果てしなくハードボイルドに接近している人も数多いのではないかと思うオトメン。文学的な話をするとフィッツジェラルドの小説はオトメンじゃないけど、チャンドラーの小説はオトメンで、チャンドラーの小説を格好いいとか思う人はオトメンじゃなくて、何だかわからないけどチャンドラーの小説みたいなことになってるんじゃないかと思えるような現実をくぐり抜けて表面的には何も見せないんだけど裏で苦笑したりため息をついたりするあたりがオトメンです。みなさんは何言ってるかわかりますかわかりませんね実を言うと私も何を言ってるかわかりません。
……なので、オトメン=新しいハードボイルド、とかそういう定義でいいんじゃないかな! じゃないかな! じゃないかな!
しかしそのため息は、どちらかというといわゆる男性のなかで囲まれているときにかなりあるような感覚があるのですが、それはまた次回ということで。