スリランカカレーの味わいかた

高橋悠治

一つの物語を構成することなく いくつかの曲線が独自に動いている空間を作ってみる

同じ楽器がかたまらず 遠く離れて 異質な楽器は隣合わせに配置する

それぞれの響き さまざまな組み合わせ 短いフレーズを崩して混ぜ合わせる フレーズは戻るたびに姿を変える

これがスリランカカレーの味わいかた

安定した低音の上になく 和声も対位法も ヘテロフォニーや 長いメロディもなく どこからか浮かび上がり どこともなくさまよい いつともしれず消えてゆく