感染症

高橋悠治

コロナウィルスの感染症拡大で 3月に予定されていたリサイタルは7月に延期された 4ヶ月の練習期間ができた と言っても 演奏がその分よくなるというよりは ちがうアプローチや 思わぬ発見があればよい 

街も人通りがすくなくなっている 公共のイベントは中止が多い 自由業には打撃で 主催者が払い戻す手間と損失はどうなるのか 日本の政治家は毎晩宴会でやりすごすのだろう

この際アルベール・カミュの『ペスト』を読み返そうかと思ったときは 図書館でもすべて借り出されていた 本屋でも売り切れらしい 薬屋ではマスクだけでなく ティッシュペーパーの棚も空になっている マスクは予防にはならないと言われても 不安だから みんなとりあえずかけているのだろうし 日本では他人の眼があるから うっかり咳もできないだろう

「感染症の歴史」wiki を見ると アテーナイの天然痘と推測される病気の流行から 今の感染症にいたるまで 文化が盛りを過ぎ 下り坂になったとき起こるのか それとも 感染症は 文化が発展し 世界的になる裏側にある危険なのか 人間はひとりでは生きられない動物だから 何回も疫病が起こり 治療費が払えない人たちから犠牲になる 疫病の後は 社会が崩壊したり 戦争が起こった 2018年には豚熱があり 2019年には鳥インフルがあった 次が新型コロナウィルスの流行だが これらは無関係だと言えるのだろうか

閉ざされた空間でも 人が多く集まる場所でも 感染するのなら どうすればよいのか テレビでは 公園のベンチで 人から離れてひとりでいるのは安全 と言われていた 年金生活者の老後のような話だね ツイッターでは ヘイト発言がひろがっている それも崩壊の兆候なのか