線と形

高橋悠治

動いている音を書き留める。位置が変わる度に記録すると、折れ線の図になる。一つの線に別の線を組み合わせる。長い音と短い音、息継ぎとためらい。

予想とは違う着地点を交えて、線は形を破る。曲がり。

一つの図に収まらない、気まぐれな動きが、たまに時々起こるならば、その曲がりが、図を破る動きになる。

図には全体がある。一目で全体が見渡せるならば、その一瞬に、図は動きを止め、静まった風景になる。

動く線は、図を破る。図の中にある線の始まりは、静止した点から始まってはいない。図の中の線の始まりは、静止した点が動きだじ、線になる瞬間を見せてはいない。線が見える時、それはもう動いている。

動く線には、終わりもない。始まりも終わりもない、いつも途中の線。それが音楽すると言うことか。声の語り、時々歌、物の音・・・