まるで石を投げる涙の瞳のように

笹久保伸

冷たい月に輪をかけて引っ張る
その紐の影には
凍った太陽が沈んでいる白い湖の風景だけが
ぼんやりと映っていた
深い夜には
そう
小指の足音だけが
まるで石を投げる涙の瞳のように
絶え間なく鳴り響いていた
一度放たれたは矢は
どこかへ突き刺さるまで飛び彷徨い続ける