終電のレモン

笹久保伸

君の墓の後ろに立つ僕の墓の前に立ち

左右色違いの靴を斜め下から履く

どうか君の好きにさせておくれ

終電で帰宅するが

秩父の信号の赤 緑に刺された深い霧を見て
できる事

蛙の見る夢について考えた

夜の霧は黄色いレモンをつかまえよう

と
走り出す白い子供の青いTシャツように

無邪気に溢れ出していた