3月のおわりの日の東京では雨をともなった強風が吹き荒れて、一夜あけた今日の空は、抜けるように青い。きのうの風がなにもかも連れ去ったしまったような気がします。その空の青さをぞんぶんに味わって、でも、目には見えない危険なもののことも忘れないようにしなければ、という世界にいることを心に刻みました。
「水牛のように」を2012年4月号に更新しました。
いつもより原稿の数が少ないのは、年度末と強風がかさなったせいだという理由を思いつきましたが、はて。
仲宗根浩さんは3月11日の「異なる声」に沖縄から参加してくれました。そのメールをもらってどんなにうれしかったか。当日の夜には写真付きの報告がメールで届きました。
「ケンタック」を訳している荘司和子さんによると、スラチャイがスリン大学から芸術学名誉博士号を授与されたそうです。スリンはスラチャイの出身地ではなかったかな。フェイスブックには学位をもらう時に着るガウン姿の写真が載っているらしいのですが、想像するだに似合わなそうで、チェックする気になれないままです。ガウンも名誉もスラチャイには遠いものです。会うことがあったら、笑いあおう。「ケンタック」のはじめにもあるように「どのような状態、どのような状況にいるときでも、こころの奥深くに孤独がある。孤独がわたしの最終最良の友なのだ」というのがスラチャイであり、私にとってはタイという文化の窓を開いて見せてくれた人ですが、それがどんなにふつうでないことなのかは、そのときにはまったくわからないことでした。
片岡義男さんの『この夢の出来ばえ』と堀江敏幸さんの『目ざめて腕時計をみると』という二冊の写真集が同時発売になります。お二人の写真展やトークも予定されています。詳しいことはもうひとつの「水牛だより」でどうぞ。
それではまた!(八巻美恵)