夏からの暑さが長く続いたせいで、いますでに11月がスタートしていることがにわかには信じがたい。集合住宅の建物も長いこと高温であたためられていたので、部屋の中ではまだ半袖でいられることも、今年の11月の到来を信じがたくしている理由のひとつかもしれません。
「水牛のように」を2012年11月号に更新しました。
わたしとおなじように「11月だなんて冗談?」とか「コタツを出した」とか「まだ半袖」とか、さまざまなメールとともに原稿は届くのです。
タイの詩人ジット・プミサクについて考える機会があり、ひさしぶりにタイに関心がひろがっていきます。タイでは主婦という人に会ったことがありません。みな職を持って働いています。そのため、と言っていいかどうかわかりませんが、食事はほとんど外食で、家で食べる場合も出来合いのおかずを買ってくるのがふつうでした。森下ヒバリさんの「バンコク自炊生活」を読んでも、台所の様子などからそのことはうかがえます。『世界の食文化5 タイ』(山田均 農文協 2003年)によれば、主婦が自分で料理できるのは余裕のある少数の家庭だけで、ステータスシンボルとなっているとのこと。マジですか、と言いたくなりますが、マジなのですね。このシリーズではイタリアもおもしろかった。著者は池上俊一さん。パスタというものからイタリアの歴史をたどる視点が物珍しく、しかし読んでみるとまっとうなのでした。全20巻の最後に『極北』が置かれています。いつか読んでみたい。
水牛がかかわるスタジオイワトでの催し物をふたつ、ご紹介します。
11月4日から8日までの「平野甲賀 ビラとポスター展 1964ー2012」、最終日の8日の夜は新月バーとハレハレバンドのライヴがあります。
初夏の満月バーの続きで新月バーの店主(=ママ)をつとめます。チイママは内澤旬子さんと岸本佐知子さん、そしてバーテンダーは足立昌弥さんと、なにやら豪華です。前回とおなじ強い酒のほかに日本酒やワイン、ビールも用意します。平野さんのビラやポスターを眺めて、斎藤晴彦さんたちの歌を聴き、おいしいお酒が飲めるぜいたくな一夜ですよ。ぜひいらしてください。
新月バーについてはブログもどうぞ。
もうひとつは12月1日の「高橋悠治50人のためのコンサート5最終回ソロ」
50人のためのコンサートはサロンというにはなにもかもが質素ですが、そのときに弾きたいものを弾いて、それをごく少数の人たちに聞いてもらうという試みです。ステージでなく、すぐそこのピアノの音を味わってください。
諸般の事情でスタジオイワトは来年2月で閉鎖になります。こうした機会は最後になるかもしれません。どうかお見逃しなく。予約などは上のリンクから出来ます。
それではまた!(八巻美恵)