真珠湾(翠の虱33)

し しらなみ立てて、べんぴの終わり、

ら らんびきの、べんきに狙うしょうすい、

た 立腐れ、真珠のうんちを撃ちつくせば、

ま ま昼の、げりを湾にまき散らす開戦。

(「日米会談といふ便秘患者が、下剤をかけられた様なあんばい」〈小林秀雄〉で、「太平洋の暗雲といふ言葉自身、思へば長い、立腐れの状態にあつた言葉」〈河上徹太郎〉。「歴史は作られた。世界は一夜にして変貌した」〈竹内好〉。こんな〈ランビキ〉言葉ばかり、開戦直後の知識人たち。「十二月八日――真珠湾――知識人と戦争」〈曽根博義、『國文學』2006・5〉、および加藤陽子「戦争を決意させたもの」〈『あの戦争になぜ負けたのか』所収〉より。)