イブラヒムがやってきた

とうとうイブラヒムがバスラからやってきた。8月6日に日本に到着してから、各地をツアーで回っている。東京、大阪、広島、徳島、長崎、久留米、宮崎、横浜、札幌、旭川と回ってきた。残り後10日。35日間のツアーだ。

このツアーの目的は、支援が一番必要なのにイラクの報道が少なくなって、支援が集まらないから、イブラヒムに、呼びかけてもらおうというわけ。

そして、2番目の目的は、イラクといえば、戦争とかテロのイメージばかりになってしまい、怖い国のこわーい人みたいになっていることを覆したいことだ。そういう偏見が戦争してもいいという気持ちを作る。

そして、3番目は、エネルギー問題。石油埋蔵量世界2位の国であるイラクは、大国に翻弄されてきた。石油欲しさに戦争するのなら、エネルギーの節約が戦争に頼らない生き方。そこで、今年の夏は、このツアー中冷房をとめて、超自然エネルギーに頼ろうという試み。つまりは、冷房の代わりにうちわを使おうということで、イブラヒムがバスラでいつも使っているというやしの葉っぱから作ったうちわを持ってきてもらった。

1、2はなんとか成功している。イブラヒムは、茶目っ気たっぷりで、日本語を話したり、日本語の歌を歌ってすっかり人気者だ。「あしーたがある。あしーたがある、あしーたがあーるーさー」音痴なのがまた愛嬌がある。でも、本当にイラクに明日があるのだろうか? このツアー中に、イブラヒムの親友の患者の父が、爆弾テロに巻き込まれてしまった。イブラヒムにだって明日があるのかわからない。生き残れるのは運がいいか悪いかだ。だから、ぼくは、イブラヒムの音痴なうたを聞いてるとなんだか悲しくなってしまうのだ。

そして、3番目。これは、もう今年の夏の暑さといったら。イブラヒムの国では、気温が55度を超えているのに、電気が一日2時間しか来なくて、うちわが大活躍。ぼくたちもイブラヒムの真似をしよう。少しは暑いのを我慢してみようとしたのだが、肝心のイブラヒムが暑さでへばってしまい、「冷房、冷房」と騒ぎ出す。日本の蒸し暑さには耐えられないようだ。

夜、少し涼しくなったかなとおもって窓を開けると隣の家のクーラーのファンから暑い空気がながれてくる。ますます、地球は暑くなっていく。

さて、そんなイブラヒムとの35日間もあとわずか。
一般講演は、9月1日、2日、4日のみとなりました。
詳しくは http://www.jim-net.net/notice/07/notice070712.html