きっと、戦争当事国だから。
いいえ、そうではない。
チョムスキーの講演を聴いている、
一人の少年が、
徴兵よりは言語学を、
ぼくは勉強したいんだ、
そう言いながら、
死んでいったこと、ベトナムの猖獗のなかで。
うそを、
そうではないはずなのに、
吐(つ)いた国、米国。
世界がいま、
{言語と精神}
かくじつによくなってる、
かくじつにあれから30年、
よくなってる。
(昔話を語る少年が、語りを教えてくれたじっつぁんに、テープで聴かせる。小学校で、みんなのまえで、身体をいっぱいうごかして語る。そのときの録音をイヤホンで聴きながら、「よかった、じょうず」と、じっつぁんは仰向いたまま、ちいさく拍手。少年はじっつぁんのベッドにもぐりこんで、胸にしがみついている。こうやって毎晩、少年はじっつぁんから昔話を聴いて成長した。宮城県の昔話採集者、佐々木徳夫(のりお)さんを記録した番組から。佐々木さんは3000人にこれまで会って、1万話を集めている。東北の緑と畠。語りが支える人々の暮らしにこそほんとうの「美しい国」があると、この国の政治家たちにわからせることのむずかしさ。{言語と精神}はチョムスキーの著書名より)