くあらるんぷうる

マレーシアで会議をすることになった。
何でもイラク人が、ヨルダンの会議を嫌がったからだ。最近、難民のようにヨルダンに逃げてくるイラク人が多く、さすがに100万人もこられては困ると、入国を制限し始めた。医者であっても、しつこく尋問されて、挙句、宗派の違いなどで入国を拒否されることもある。意外と穴場は、マレーシア。イスラム国ということでビザなしでイラク人を受け入れている。というかやっぱり遠いから、わんさかと押し寄せることもないのだろう。

今回は、会議だから、会議以外は何にもしない。ホテルに缶詰。日本からは近い。直行便が飛んでいるからずいぶんと楽だった。深夜にホテルに到着すると、先についていたイブラヒム(ローカルスタッフ)とジナーン医師が散歩から帰ってきたところだ。結構アラブ料理の店もあるらしい。中国とアラブとヨーロッパの植民地が混ざり合ったような多国籍な雰囲気が漂う町だが、案外とこぎれい。でもうるさい。ホテルのバーでは、へたくそなバンドが演奏をしている。カラオケバーみたいだ。

結局、会議とその準備で、外をほっつき歩く時間はほとんどなかった。せめて、マレーシアらしいものはと考えるとやはりドリアンである。ホテルにはドリアン禁止の標示があった。イブラヒムは、「これは、爆弾か」というから、「違う! 果物の王様だ」と説明すると、「なんで王様が禁止になっているんだ」と不思議がる。「とっても臭いんだ」とは言うものの私もドリアンの臭さはどんなものか良くわからない。

屋台にいくとドリアンがぶら下がっているので、イブラヒムに、これがドリアンだとおしえてやった。「おお、これが王様!」とはしゃぐ。「ドリアン、買ってくれ」とイブラヒムがせがむが、「これは臭いんだ。どうせ、あんたは、ろくに食べないだろう」イラク人は、概して、珍しいものとかは食べたがらない。しかし、果物といえば、そんなに変なものはない。バナナやイチゴ、柿、万国共通、甘くて、素敵な香りがするもの。しかもその中の王様とくれば、食べたくなるのが筋だ。「ケチなんだろ! だからだまそうとしているのだ」とでもいいたそうだ。イブラヒムは、納得したような納得していないような顔をしていた。

ドリアンを買うのはやめて、代わりにドリアンチョコなるものを発見した。これならそんなに臭くはないだろう。イブラヒムも喜ぶに違いない。会議のお茶請けに配ろうと買っていった。まもなくバレンタインチョコレート募金が始まるのだが、イラクの子どもたちが描いてくれたチョコレートのパッケージを持ってきていたので、それにチョコを詰めて配ろうというわけだ。

しかし、プラスチックの入れ物のセロテープをはすしてふたを取った瞬間、プーンとすっぱいにおい。なんというか、エステル系のツーンとしたにおいと腐った卵が混在するような感じ?ともかく強烈だ。部屋の中ににおいが充満してしまった。

でも、食べてみないとわからないから、一粒食べてみると、これが、また、胃液のような味。おぇーとなってしまった。においがなかなか消えない。もし、ドリアンの持ち込みがばれると、どうなるんだろうと心配になり、ビニール袋を何重にも包んでしまっておいた。イブラヒムに食べさすこともすっかりと忘れてしまったのである。イラクに帰っていったイブラヒムは、未だに俺のことをケチだと思っているのかもしれない。

まもなく始まるチョコ募金
今回は混乱を防ぐために先行予約を受け付けています。
チョコはドリアンチョコではなく、六花亭のおいしいアーモンドチョコです。賞味期限厳守で注文しています!
詳しくはHPからhttp://www.jim-net.net/notice/07/notice071115.html