孔版の上に火を鑽るごとくする思想的いわれ鋼鉱を熔かす
なんて季節がありました、
活きる字の活版印字ゆめのさき孔版原紙切り裂きながら
などとも、いきがって、
一語一語意味の原野に字を植うる写植の時代燃ゆる校正
などとは、いきがって、
鉄筆の火を鑽る原初より続く稗(はい)史臆説式亭三馬
版本時代の終わりを告げて、
プリンターよりひらひらと雉鳩の飛び立ちてすべなきわが帰還
(6月尽。パンドラの箱を開けるように、開けたらプリンターからひらひらと飛んでいっちゃったんです。一枚また一枚、消えてなくなります。)