そっと――翠の石室48

うたよ悲しい歌をきょうだけは

うたわないで

落雷よ落雷くらいで暗くならないで(停電)

さぼてんくん

さぼてんくん何してんの

さぼってんの僕

この世からトロイメライ

「そっと、僕はもう行ってしまうんだ

そっとやってきたときのように

軽やかに手を振り

西空の雲へのお別れの挨拶にする

......」

「今だけは

悲しい歌......

(徐志摩を女性詩人だとして『言葉と戦争』〈大月書店〉に引いたのは、男性詩人だよって、デンニッツァから教えられた。ごめん。ああ早く再刊にこぎつけて直したいのに。「そっと......」の詩は『時の滲む朝』〈楊逸、このたびの芥川龍之介賞〉に出てくる、徐志摩の詩から。「今だけは悲しい歌(聞きたくないよ)」と、尾崎豊に痛みを覚える主人公。9月尽、西郷信綱さん逝く。追悼文を書いて僕も寝みに就こう。)