アホウドリ

アホウドリを首にまいて
北へかえろう
吸いあげて肥大する
メトロポリス
の罪科を首にまきつけ
苦い土の新世界へかえろう
いや
地をはうように生きてきたので
おもえば
空を飛んだことは
はて?
大学の塔にのぼったことは
はて?

地をはうのだから
そのまま海底をゆくのだな
アホウドリのように飛べはしない
島にもなかなか
たどりつけない

いや、たどりつくもつかないも
人はそのまま
ひとつの島
この世に浮かんで沈む島
わたす舟
わたる舟
に渡し守、カロンはのっているかい

幾重にめぐる水流と
赤い実のなる泥炭の地をぬけ
疾駆する蝦夷鹿の──ピンネシリ
との逢瀬はやはり
しょっぱい川の
波にゆられて